お知らせ

 5月は上場会社の多くが決算報告を行う時期となっており、
 月末を迎える今では、ほとんどが決算発表を終えています。
 新型コロナウイルス禍から回復を見せている、旅行や運送関連などが好調な半面、
 円安や資源高の影響で、製造業は芳しくない結果となりました。

 元旦を一年の始まりとして、12ヶ月を数えるのを「暦年」と言い、
 これとは別の数え方で、一年間を数えることを「年度」といいます。
 国や上場している会社などは4月1日を一年の始まりとして、
 決算を組んでいて、このことを「会計年度」といいます。

 会社の場合は、その「年度」を自由に決めることが出来て、
 請求の締め切りにあわせて、○月21日から○月20日の
 一年としている会社も結構あります。
 アメリカは10月、中国は1月が、会計年度の始まりとなっています。

 事業の規模の大小にかかわらず、経営を続けていくうえで「蓄え」
 つまり、貯蓄は非常時や緊急時に大きな支えとなってくれます。
 ところが、、事業が順調に運んでいるときには、大きな利益を生まない貯蓄は、
 効率が悪いと考えられ、すぐに換金することができない
 「投資」へまわされることが多いものです。

 さらに、「蓄え」にたどり着くには、安定した経営をすることが大切です。
 無計画な事業拡大は命取りになりますが、かといって現状に甘んじていては、
 時代の波に取り残されることになりかねません。
 適度に、前に進むことが肝心なのですが、そのコツはどのようなものでしょう。

 客商売である以上、雨の日はどうしても客足が鈍ります。
 そんな時でも、時計店は客が少なくても、店員は時計の修理に励んでいる。
 「時計業は、大切な時間を無為に過ごさなくて良い」
 こう考えた服部金太郎氏は、時計の世界に足を踏み入れ、
 後に世界のセイコーとなる服部時計店を開業することになるのです。
 
 国内ではいち早くクオーツ時計の開発を手がけ、
 世界初のクオーツ腕時計を発売し、一躍世界のトップメーカーとなりました。
 時計の開発に派生して新しい事業が次々と生まれ、
 今やその事業のいくつかが本業として成り立っているのです。

 服部氏は無一文から出発して、堅実なビジネス・スタイルで、
 現在のセイコーグループの基礎を築きました。
 その中には、今でも決して色褪せしない、ビジネスの基本が残されています。
 
 彼は、商売を始めるときの条件を次のように言っています。
 ・少ない資本ではじめられること
 ・将来大きく伸びる見込みがあること
 ・コツコツやっていても、努力次第で発展できること
 
 同業者が仲間同士で商品を融通しあっているときには、
 外国の貿易商から仕入れを始め、同業者が貿易商と取引を始めた頃には、
 外国から直接輸入をしいました。
 そして、周りが輸入を始めたことには、すでに自分の手で時計の製造を
 開始していたのです。
 
 また、ビジネスは周りより一歩先に進むことが大切だと言っています。
 逆に、何歩も進みすぎることは、預言者になってしまうので
 慎まないといけないと忠告しています。

 農地の購入に必要となる農家資格について教えてください。

 市街化調整区域内の農地を相続しましたが、自身で管理できないため売却したいと考えています。お隣の農地を耕作している方に購入を打診したところ、「農家資格がないため購入できない」と断られました。農地購入の際に必要となる農家資格とはどのようなものでしょうか。

 農家資格とは、農地の権利移動あるいは他用途への転用を行う場合に必要なもので、農地法に定められた許可を得る必要があります。農地法の許可の種類や許可基準については、詳細解説をご確認ください。

1.農地法の許可の種類

 目的(権利移動・転用等)により許可基準が異なり、その根拠条文は以下のとおりです。

 

  • ① 農地を農地として権利移動(売買や賃借)する場合(農地法第3条)
    農業委員会の許可(都市計画にかかわらずすべての区域)
  • ② 農地を農地以外に転用する場合(農地法第4条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可
  • ③ 農地を農地以外に転用する目的で権利移動する場合(農地法第5条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可

 農地として権利移動する場合、①により農業委員会の許可が必要となります。市街化区域内の農地の場合、②および③は、農業委員会への事前届出で足りるため、転用あるいは転用を目的とした権利移動については、容易に行うことができます。
 ただし、市街化調整区域内の農地の場合は、目的にかかわらず、①から③のいずれかの許可が必要となります。

2.ご相談のケースにおける許可基準

 今回のご相談は売買のため、上記1.①の許可が必要となります。つまり、許可基準は農地法第3条によります。
 農地法第3条には、許可基準について以下のように規定されています。

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

 上記のとおり、農業委員会の許可を得なければ権利移動することができず、その許可を得るためには、以前は下記のI.~IV.の条件をすべて満たす必要がありました。

  • 農地のすべてを効率的に利用すること
  • 必要な農作業に常時従事すること
  • 一定の面積を経営すること(下限面積要件)
  • 周辺の農地利用に支障がないこと

 ただし、令和4年に農地法が一部改正されたことにより、上記Ⅲ.の条件は撤廃され、令和5年4月1日以降の許可分から下限面積要件はなくなりました。なお、相続や包括遺贈、時効取得による権利移動の場合は、農地法第3条の許可を要しません。

 お隣の方が認識している「農家資格」とは、I.~IV.の条件をすべて満たすことを指していると思われます。

 下限面積要件の撤廃は最近の改正であり、まだあまり周知されていません。もしかするとお隣の方はⅢ.の条件を満たしていないために、農家資格がないと判断されているのかもしれません。上記をお伝えした上で、確認されてはいかがでしょうか。

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 生命保険への加入は相続対策として預金にはない効果を期待できるのでしょうか。

 70歳になり相続について真剣に考えるようになりました。保有している財産状況から相続税は避けられそうにありません。先日、同世代の知人から、納税資金の準備は預金より生命保険の方が有効なので加入した方がよいとアドバイスを受け、保険代理店を紹介されました。預金と家賃収入が十分あり生命保険は不要と考えていたため、これまで加入した経験がありません。相続対策として預金にはない効果を期待できるなら加入しようと思いますが、営業担当者の説明だけで決断することに不安があります。客観的な立場から相続における生命保険の有効性、生命保険と預金の違い、注意点について教えてください。
 相続人は妻と子2人の予定です。受取人は子2人5割ずつ指定すればよいといわれました。

【保険代理店からの提案プラン】
  • 契約者、被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:長男、長女 5割ずつ
  • 保険種類:一時払終身保険
  • 保険金額:1,000万円
  • 一時払保険料:9,623,000円

 生命保険は預金よりも有効とされるポイントがいくつかあり、相続において有効と考えられます。預金との違いと注意点については詳細解説をご確認ください。

 提案された契約形態で死亡時に子が受け取る死亡保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の計算上は、みなし相続財産と扱われ課税対象となります。相続税の対象となる点は預金と同じですが、以下の点で違いがあり、生命保険は相続において有効と考えられます。

1.生命保険の特徴
非課税枠がある

契約者(保険料負担者)、被保険者ともに被相続人となる生命保険契約で、相続人が受け取る死亡保険金は、非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用できる。

生前に死亡保険金受取人を指定できる

生前に契約者が死亡保険金受取人を指定するため、契約者の意思により遺したい人に確実に遺せる。

被相続人の預金の払戻しより手間なく受取人の口座に入金できる

生命保険の死亡保険金は、一般的に保険会社所定の保険金請求書、死亡診断書、死亡日を証明できる公的書類(除籍謄本など)があれば請求手続きができ、書類提出から1~2週間で受取人指定の口座に入金されます。

一方、預金は亡くなった旨の通知があったときから口座が凍結され、遺産分割が終了するまでの間、相続人単独では払戻しを受けられないことがあります。そのため、平成30年の民法改正(平成31年7月施行)により、遺産分割前に相続預金口座の払戻し制度が設けられ、相続人単独で払戻しを受けることができるようになりました。しかし、その手続きには被相続人の除籍謄本以外に相続人全員の戸籍謄本が金融機関ごとに必要など、死亡保険金請求よりも必要書類が多く、払戻し額は一定の範囲内に制限されています。

遺産分割協議の対象にならない

上記のとおり死亡保険金はあくまでも受取人固有の財産であり、相続財産ではないため通常は、遺産分割協議の対象にはなりません。そのため、原則として遺留分を計算する際も対象に含まれません。

 このように預金よりも有効とされるポイントがいくつかある一方で、次のような注意点もあります。

2.生命保険の注意点
  • 預金より流動性が劣る
  • 契約から早期に解約すると元本割れする可能性が高い
  • 税制が変わり、期待した効果が得られない可能性がある
  • インフレにより保険金の資産価値が下がる可能性がある

 相続対策の検討は、保有している財産全体を踏まえて、納税見込額や財産の分け方などを整理しておく必要があります。保険金額や受取人についても慎重に検討した方がよいでしょう。

 相続対策に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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 私たちの身近にあり、無くてはならない存在となっている、
 コンビニエンス・ストア。
 フランチャイズ・チェーン(FC)という仕組みが活用されている、
 代表的な業種のひとつです。

 FCは、63年にダスキンが「愛の店」を、
 不二家が洋菓子店の展開を始めたのが先駆けとされています。
 しかし、店舗間の競争激化、24時間営業の強制、期限切れ商品の廃棄損の負担など、
 様々な問題が表面化し、曲がり角に差し掛かっています。

 日本人が豊かさを感じ始めた60年代、その事を象徴するかのように 
 スーパーマーケットと外食産業が全国に広がりつつありました。
 また、アメリカで広がっていた多店舗展開の仕組みを、
 いち早く事業に取り入れようと手探りで取り組んでいました。

 FCの普及を後押しした第一人者として渥美俊一氏が挙げられます。
 読売新聞で商店経営欄の担当をしていた渥美氏は、
 流通業の経営者へ取材を重ねるたびに、このことに関心を強くしていきました。

 多店舗展開というものが確立していなかった当時は、
 自社で行うものやFC加盟店を募集して行うものを区別せず、
 すべてをチェーンストアと呼んでいました。
 そして、この理論を学ぶため全国の経営者を集め、
 研究会「ペガサスクラブ」を立ち上げたのです。

 初期のメンバーには、ダイエーの中内功氏、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏、
 イオンの岡田卓也氏などなど、そうそうたる顔ぶれが名を連ねます。
 それぞれが、見よう見まねで行っていたチェーンストアのしくみを体系的にまとめ、
 草創期のスーパーマーケットや外食産業が事業を拡大するための
 けん引役として力を発揮します。

 渥美氏の指導は厳しかったらしく、一国一条の主であり、
 社会的な地位もある経営者であっても手加減することなどせず、
 そのため、舌を巻く経営者も少なくなかったとか。
 大の大人のである経営者がセミナー参加中は飲酒を絶ち、
 食事も程ほどに、経営について熱く議論を戦わせていました。

 この光景を物語るかのようなエピソードがあります。
 和風レストランチェーンを展開するサトの創業者 重里 進氏が、
 ゴルフで箱根のホテルに泊まったところ。
 浮かれた自分とは対照的な光景に衝撃を受けます、
 翌朝には会場のドアに耳をつけて、こっそりと講義を聴いたそうです。

 ペガサスクラブが発足した当時、標榜としたのは百貨店経営の否定でした。
 参加企業の年商は多くても数十億円でしたが、
 地方百貨店でも20億円を上回り、都市百貨店は100億円を超え、
 ナンバーワンの三越は450億円に達していました。

 その経営とは、繁華街の一等地に大きな店を構え、駐車場は無く、
 高層ビル型の店舗で客を待ち受けるだけです。
 品揃といえば、一般庶民には手が出ない高級品志向の一辺倒で、
 おまけに問屋まかせで収益率の低さは際立っていました。

 このような百貨店が、王様気取りで小売業界に君臨していたのです。
 加えて、メーカーや問屋が強い力を持っていたので、
 新興のスーパーマーケットは分け入る隙間など残っていなかったのです。
 おまけに、大衆も「安かろう、悪かろう」という目で見ていました。

 チェーンストアの理論は、体系的に武装を整え
 百貨店経営に立ち向かうための武器の役目だったのです。
 その後、FCビジネスの中核にコンビニが加わることにより完成度が高まり、
 最近では、学習塾や不動産仲介業のほか様々な業種に広がりをみせています。

 今回は相談事例を通じて、預金債権の仮分割の仮処分についてご紹介します。

 夫が亡くなったため、相続人である私と夫の兄弟姉妹たちとの間で半年ほど遺産分割協議を続けていましたが、どうしても折り合いがつかないことから、この度、遺産分割調停を申し立てることになりました。
 また、我が家の生活費はすべて夫の預金口座で管理していたのですが、この預金口座は夫が亡くなったことで凍結されてしまいました。そのため、現在は預貯金の仮払い制度を利用して、夫が亡くなった直後に払い戻した150万円を取り崩しながら生活しています。
 ただ、肝心の遺産分割調停については解決の目途が立っておらず、今後調停が半年も1年も続くような場合には、到底生活していくことができません。何とか当面の生活費を確保する方法はないでしょうか。

 本件のようなケースでは、「預金債権の仮分割の仮処分」制度の利用を検討することが考えられます。以下で本制度について、概略を説明します。

1.預金債権の仮分割の仮処分について

 令和元年の相続法改正により「預貯金債権の仮分割の仮処分」に関する制度が新設されました(家事事件手続法第200条3項)。

 本制度は、「預貯金債権は遺産分割の対象となる」と判示した平成28年決定により、預貯金債権が遺産分割までの間は共同相続人全員の共同でなければ行使できなくなったため、例えば被相続人の扶養内にあった相続人において、被相続人にまつわる債務の弁済あるいは生活費の支出の必要があるにもかかわらず、共同相続人の一人でも協議に同意しないために払戻しを受けることができないといった不都合を是正する目的で制定された背景があります(※1)。

 なお、金融機関ごとに法定相続分の3分の1あるいは150万円のいずれか低い方の金額を上限に払戻しを認める預貯金の仮払い制度(民法第909条の2)とは異なり、本制度では家庭裁判所に対して当該仮処分を求める旨の申立を行い、裁判所から仮分割を認める決定を取得する必要があります。

2.要件

①本案が係属していること
 本制度の利用にあたっては、当該預金債権が分割対象となっている遺産分割調停事件もしくは、遺産分割審判事件が家庭裁判所の事件として係属している必要があります。

②権利行使の必要性
 本制度の利用により預貯金を払い戻す必要性が認められる必要があります。典型例としては、生活費の支払いや施設利用料の支払いを行わなければならない場合が挙げられます。

③他の共同相続人の利益を害しないこと
 どの程度であれば、他の共同相続人の利益を害しないかについて明確な基準は決められておりませんが、一つの考え方として、仮分割を求める金額が当該預貯金債権額に自身の法定相続分を乗じた金額を上回らないこと(すなわち、請求額が自身の法定相続分に応じた金額を超えないこと)が挙げられます。

3.手続きおよび想定される効力

 本制度では、仮処分の可否を決定する前に、相手方である他の相続人に意見の陳述の機会が与えられ、裁判所はこの陳述を聴取しなければなりません(家事事件手続法第107条)。

 

 陳述の方法には、相手方が実際に裁判所に出廷して意見を述べる方法と裁判所から送付された書面に意見を回答する方法があり、いずれかの方法を経た後に裁判所が仮処分の可否を判断することになります。

 仮に、仮処分が認められた場合の取得額は、本件のように生活費の確保を目的として本制度を利用した場合には、月々の生活費に本案について見込まれる審理期間(数ヶ月~1年程度)を乗じた金額になるものと思われます(※2)。

(※1)「中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)の補足説明」(平成29年7月18日)
(※2)片岡武・管野眞一「改正相続法と家庭裁判所の実務」(日本加除出版株式会社)93頁-106頁

 

 

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 小学校へ入学した孫に対して、教育資金の一括贈与を2023年中に行おうと思います。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度は適用できますか?

 孫の小学校入学を機に、教育資金の一括贈与を検討しています。
 一度に渡しても一定額までであれば贈与税が非課税となる、と聞いています。これが今年(2023年)の3月末までと聞いていましたが、令和5年度税制改正で延長はされましたか?

 ご相談の非課税は、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度と考えられますが、こちらについては、令和5年度税制改正で適用期限が3年延長されました。具体的には、2026年(令和8年)3月31日が延長後の適用期限となります。

1.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度

 年齢30歳未満の一定の受贈者が、教育資金に充てるため、一定の契約に基づき、祖父母など直系尊属から信託受益権を取得するなど教育資金口座の開設等を行った場合には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円を限度に、一定の手続をすることで、受贈者の贈与税が非課税となります。これを「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度(以下、非課税制度)」といいます。

 この非課税制度については適用期間が定められており、平成25年(2013年)1月1日から令和5年(2023年)3月31日までとなっていました。

2.令和5年度税制改正

 2022年12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」には、この非課税制度について、いくつかの改正項目が記載されています。主な改正項目は以下のとおりです。

  1. (1) 適用期限の延長
     適用期限を3年延長する。
  2. (2) 契約期間中に贈与者が死亡した場合の相続税の取扱いの見直し
     契約期間中に贈与者が死亡した場合で、非課税となる拠出額から教育資金として支出した額を控除した残額(以下、管理残額)があるときの、管理残額に対する相続税の取扱いについて、受贈者が23歳未満である場合等であっても、贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときには、相続等により取得したものとみなして相続税を計算する。これは、令和5年(2023年)4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について、適用する。
  3. (3) 契約終了時の管理残額の贈与税計算の見直し
     契約終了時において管理残額がある場合の贈与税の計算について、一般税率を適用する。これは、令和5年(2023年)4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について、適用する。

 ご相談の場合、お孫さんへの教育資金の一括贈与については、適用期限が3年間延長されたことにより、2023年中に利用することは可能です。ただし、適用には一定の要件があります。

 なお、学費や教材費、文具費などの教育費に充てるために扶養義務者からされた贈与については、上記の非課税制度を利用せずとも、必要な都度、通常の範囲内で行えば、贈与税はかかりません。ただし、教育費の名目であっても預金をしたり、株式などの購入資金に充てたりした場合などには、贈与税がかかります。ご注意ください。

<参考>
 国税庁HP タックスアンサー「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」「No.4405 贈与税がかからない場合
 財務省HP「令和5年度税制改正の大綱

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 スーパーやコンビニのお酒売り場へ足を向ければ、
 カラフルなデザインで目を引く缶入り酎ハイが花盛りです。
 かつての愛飲者は、安い酒の象徴のような存在であった「焼酎」が、
 こんなに注目を集めるとは思いもよらなかったことでしょう。

 「canチューハイ」で有名なタカラは、
 いわゆる甲類焼酎では老舗的な存在です。
 戦後復興後には「カストリ」「バクダン」と呼ばれる、
 粗悪品の横行によるイメージダウンと、
 同業者の乱立により厳しい経営を強いられていました。
 そんな中、創業者 大宮庫吉氏は長年持ちつづけた夢でもあった、
 ビール事業へ足を踏み入れることを決断します。

 68歳という年齢でありながら、
 自ら欧米へ視察に出向き製造方法を学びます。
 大手3社がしのぎを削るビール業界へ挑むには、
 個性を出さなければ太刀打ちできないと考えました。

 ホップの香りと苦味を強めたドイツビール風の味にし、容器も目を引くよう、
 それまでの規格にはない500mlの中瓶を採用しました。
 57年、こうして第4番目のビール
 「タカラビール」はこの世に登場したのです。

 しかし、大手が築きあげた牙城は、簡単に崩せるものではありません。
 当時の酒販ルートはメーカごとに系列化しており、
 卸から小売まで特約店形式でビールを販売していたのです。
 広告宣伝を大々的に行っても、
 販売ルートに分け入ることが出来ず苦戦を強いられます。

 後にビール業界に参入したサントリーが
 アサヒの特約店ルートを使って販売を広げたのに対して、
 タカラは居酒屋チェーンに販路を求めるも、波に乗ることが出来ず、
 10年後の67年にビール事業から撤退しました。

 「最初は赤字覚悟」
 新しい事業を行うときには、このようなことを口にします。
 工場建設や店舗造作、機械の購入など、
 たくさんの設備投資を行うときには事業が順調に推移するまで、
 数年間は赤字になることが多いのです。

 この「赤字」の捉え方には注意が必要です。
 他から出資してもらっていない、
 いわゆるオーナー経営の場合には、
 税金の申告や銀行からの融資に使う「損益計算」より
 「収支計算」に目を向けなければいけません。

 「損益計算」では、支払ったお金が経費に
 なるかならないかで利益の金額が変わります。
 実際の経営では「利益」の多さより、
 「お金」のあるなしの方が重要になります。
 ましてや、経営が上手く行くかどうかの瀬戸際では、
 後者の方が断然大切です。

 「赤字」はどのように穴埋めするのか、
 手持ちのお金があるならいいのですが、
 借金で賄うのであれば、その分も見越して借入しておかないといけません。
 「収支計算」の「赤字」は、そのままにしておくわけにはいけません、
 だって、マイナスの「お金」は存在しないのですから…

 「庭内神し」の相続税法上の取扱いを教えてください。

 私は代々の地主一族の本家筋の者です。今般、先代が亡くなり私が相続する予定の不動産のうち、自宅の敷地内に先祖代々の祠があり、私たち家族や親族が日常的にお参りしています。相続税の申告に際し、こういった祠や祠がある敷地の扱いはどのようになるのでしょうか。

 今回のご相談の場合、日常的にお参りをしている先祖代々の祠ということですので、祠がある敷地部分も含めて相続税の非課税財産に該当する可能性が高いと思われます。

1.「庭内神し」とは

 一般に、屋敷内にある神の社や祠など、ご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものを「庭内神し」といいます。また、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷などで特定の者または地域住民などの信仰の対象とされているものをいいます。

 

2.相続税法上の取扱い
(1)相続税法の非課税財産の規定

 まずは、相続税法の非課税財産の規定について見てみましょう。同法第12条第1項第2号に以下の規定があります。

相続税法
(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
一 (略)
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
(以下略)

 上記に関連して、相続税法基本通達に以下の規定があります。

相続税法基本通達
(「墓所、霊びょう」の意義)
12-1 法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。(平元直資2-207改正)

(祭具等の範囲)
12-2 法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。

 条文をそのまま読むと庭内神しやその敷地は、無条件に非課税財産に該当するようにも思われますが、国税庁の質疑応答事例では、一定の要件のもと、非課税財産とする、としています。

(2)質疑応答事例

 国税庁の質疑応答事例「庭内神しの敷地等」では、弁財天を祀るための祠とその附属設備である鳥居があるケースを例示し、祠の敷地や附属設備について“ただちに相続税の非課税財産に該当するとはいえない”とし、一定の要件のもと、非課税財産に該当するとしています。この場合の「一定の要件」とは、以下のとおりです。

  1. ①「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
  2. ②その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的
  3. ③現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能

 これら3つの面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合

(3)ご相談のケースの場合

 今回のケースに照らすと、ご家族やご親族が日常的に礼拝する先祖代々の祠ということで、上記(2)の要件を満たし、敷地部分も含めて相続税の非課税財産に該当する可能性が高そうです。
 ただし、敷地部分について、庭全体が非課税になるものではなく、祠と社会通念上一体とみなされる部分に限られることに注意が必要です。

 不動産の相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP 質疑応答事例「庭内神しの敷地等

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 生命保険信託の仕組みとその活用について教えてください。

 私は知的障害がある息子と2人で生活しています。私が死んだ後の経済的な損失は、生命保険に加入することでカバーできると考えていますが、安心して任せられる親族が近くにいないため、受け取った保険金を息子が適切に管理できるかどうか心配です。
 第三者が保険金を管理してくれて、毎月一定額を生活費として息子が受け取ることができるような仕組みがある生命保険はないでしょうか?

 ご相談に沿う生命保険として、「生命保険信託」があります。生命保険信託とは、信託銀行等が受託者となって本来保険金を受け取る人(受益者)のために、保険金の管理や運営を行う仕組みです。

1.生命保険信託とは

 生命保険信託とは、委託者との間で契約を交わした受託者である信託銀行等が、自ら死亡保険金の受取人となり保険金の支払いを受け、その後、指図どおりに財産を受け取る人(受益者)のために管理する仕組みのことをいいます。
 具体的には、以下の図のとおりです。

 委託者は、生命保険会社と生命保険契約を締結します(図①)。その後、信託銀行(受託者)と信託契約を締結し、死亡保険金請求権を信託します(図②)。委託者は生前に誰に保険金を残すか、保険金の支払方法や活用方法を決定します。
 委託者が亡くなると受託者は保険金を受け取り(図③)、あらかじめ委託者が生前に決めた方法に基づいて受益者のために保険金の管理、運営を行います。
 また、あらかじめ指図権者を定めておくと、受託者の急な資金の引き出しや支払条件の変更など指図権者の指示を受けて、保険金の管理、運営を行うことができます(図④)。

 今回のケースでは、相談者様が委託者、ご子息が受益者、財産を管理する信託銀行が受託者となります。

 一般的な生命保険と比較すると、受取人の指定だけでなく、受取方法や使い道まで、細かく指定できる点が生命保険信託の特徴です。

2.生命保険信託の活用事例と注意点

 生命保険信託の活用事例、注意点は以下のとおりです。

【活用事例】
  • 保険金受取人が未成年者や知的障害者で保険金受け取り後の財産管理に不安がある
  • 受取人に計画的にお金を使ってほしい
  • 公益認定法人や学校法人、認定NPO法人などの公益を目的とした団体に保険金として寄付したい  等
【注意点】
  • 取扱いできる保険会社、金融機関が増えてきているものの、対応できる会社や商品が限られている
  • 信託銀行や保険会社に対する費用(※)が発生する
  • (※)一般的には信託契約締結に伴う費用、信託期間中の事務、管理費用が発生します。取り扱う機関により金額は異なりますので、直接ご確認ください。

 今回のご相談のように、保険金受け取り後の管理について不安に思われている場合は、生命保険信託を選択肢の一つとして検討をされるとよいでしょう。相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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 世の中を風刺したものや、人生の悲哀を語ったものなど、
 各方面で面白い川柳が募集されています。
 某生命保険会社が行っている「サラリーマン川柳」が代表格と言えますが、
 私たちの分野でも、会計川柳や税金川柳というものが募集されています。

 作品は、この業界にいないとわからない専門用語が盛り込まれ、
 少々マニアックともいえますが、クスッと笑えるものであります。
 もう募集はしていないようですが、某靴下メーカーが行っている、
 「足クサ川柳」というものがありました。

 テレビドラマ「陸王」のヒットのお陰で、注目を集めた足袋。
 とはいえ、洋装が一般化した現在では、
 着物や浴衣姿の時にしか身につけないというのが実情です。
 ドラマどおり、生産者は減る一方で、
 そのなかでも国内トップのシェアを保っているのが福助です。

 裃を着た人形がトレードマークの福助は、
 足袋の製造販売では120年以上の歴史を誇り、
 それまで手縫いであった足袋を専用のミシンを開発して、
 機械縫いの分野で成功を収めます。

 一時は広告宣伝にも力を注ぎ、昭和の初期には、
 東京、大阪、福岡に電灯広告塔を建設して世間の人を驚かせました。
 洋装化の流れから戦後は製品の中心を靴下に移行しますが、
 そのほとんどが有名ブランドの名前を付けたライセンス商品で、
 自主ブランドはほとんど無く、販売生産を請け負っている状態だったのです。

 90年代に入ると業績は下降し2003年には遂に、
 経営破たんしてしまったのです。
 再建に名乗りを上げたファンドから送り込まれたのは、
 某百貨店で敏腕を振るった敏腕バイヤーでした。

 改革に手をつけた彼が驚いたのは足袋だけで600円台から1万円まで、
 なんと300種類以上あったのです。
 その結果、在庫は75万足にも達し、資金の負担となっていたのです。

 長年、下請けに近い状態に甘んじていたため、
 ミスを恐れる体質がそうさせていたのです。
 販売先の要望を聞き入れることが、良いことだと思い込んでいたのです。

 彼が持ち出したキャッチフレーズは「進化する老舗、福助」でした、
 いい所は残しつつ、自分達で自立して行こうという思いの現れだったのです。

 その改革のひとつとして、自主ブランドを立ち上げることに手をつけ、
 現在では「フクスケ」の名前を冠したブランドや、
 人気モデルとのコラボレーションによるブランドなど
 数多くのブランドの商品が販売されるに至っています。

 大手企業には当然の如く、「経営方針」がありその中に必ず
 企業理念なるものがあります。
 失礼ながら、お飾りのようなものも数多くあるのですが、
 その言葉の中に、会社の理想とする姿(イメージ)が
 ちゃんと織り込まれていないといけません。
 言葉が先でなく、理想とするイメージが大切なのです。
 「俺の背中を見ながら付いて来い!」だけではダメですよね。

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