お知らせ

事前に売却した方がよい不動産

築年数が古く収益力が弱い不動産を所有していますが、事前に売却した方がよいでしょうか。

Q
今月のご相談

 親の代から所有してきた古い長屋があります。現金より不動産で資産を持っている方が相続税を抑えられると言われているため、そのまま所有していますが、築年数が古く収益力が弱いため、このまま所有し続け、子どもたちに相続させるべきか悩んでいます。

A-1
ワンポイントアドバイス

 まずは、長屋の「相続税評価額」と「市場価格」について確認されるとよいでしょう。相続税評価額が市場価格を上回る場合は、長屋を相続させると、お子様の相続税の負担が重くなりますので、事前に売却することをお勧めします。

A-2
詳細解説
1.相続税評価額

 市街地にある土地建物の相続税評価額を計算する際、土地は(相続税)路線価、建物は固定資産税評価額を利用します。

 土地の相続税評価額を計算する際に利用する路線価は、市場価格の80%程度とされており、加えて貸家建付地として評価減されるため、評価額は低く抑えられます。

 また貸家の建物は、固定資産税評価額から借家権割合に応じた部分が評価減されます。そのため、現金より不動産で資産を持っている方が相続税は抑えられると言われており、不動産が相続対策として利用される所以です。

2.市場価格

 対して、貸家の市場価格は、貸家から発生する賃料と投資家の期待利回りから形成されます。例えば、貸家の年収が500万円、投資家の期待利回りを10%とすると、市場価格は5,000万円になります。

【計算例】 年収500万円÷10%=5,000万円

 そのため、①賃料が減ることや、②築年数の経過や修繕不安により投資家の判断が厳しくなり、期待利回りが高くなれば市場価格は減少します。

  1. ① 賃料が450万円に減った場合
    年収450万円÷10%=4,500万円
  2. ② 築年数の経過や修繕不安により投資家の判断が厳しく、期待利回りが高くなった場合
    年収500万円÷15%≒3,333万円

 今回ご相談を受けた長屋は、築年数が古く収益力が弱いとのことですので、市場価格が低いことが予想され、相続税評価額の方が高い可能性がありそうです。相続税評価額が市場価格を上回る場合、相続対策になっていません。

相続税評価額 < 市場価格 ⇒ この場合、相続対策になっている。
相続税評価額 > 市場価格 ⇒ この場合、相続対策になっていない。

 もし、相続税評価額が市場価格を上回っている場合は、長屋を相続されると、お子様の相続税の負担は重くなりますので、事前に売却することをお勧めします。

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保険料負担者が異なる保険金と弔慰金の受け取りと税金

亡くなった夫が会社で加入していた生命保険に係る死亡保険金と弔慰金の受け取りについて、税務上の取扱いを教えてください。

Q
今月のご相談

 先日、夫が亡くなったため、夫の勤務先で加入していた生命保険について手続きの案内をもらいました。会社が保険料を負担する福利厚生の契約に夫本人が任意で上乗せをして、給与天引きで保険料を支払っていたことがわかりました。会社が保険料を負担していた部分からおりる死亡保険金は、会社の規程により退職金払い、会社からは別途、弔慰金が支払われると説明を受けました。死亡保険金や弔慰金の税金の取扱いについて教えてください。

【契約内容】
  • 保険種類:団体定期保険
  • 契約者:会社
  • 被保険者:夫
  • 保険料負担者:会社、夫
  • 死亡保険金受取人:私
A-1
ワンポイントアドバイス

 死亡保険金は、保険料を誰が負担していたかによって税務上の取扱いが異なります。また弔慰金についても、条件によって税務上の取扱いが異なります。具体的な内容は詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説

 具体的な税務上の取扱いは、それぞれ次のとおりです。

1.会社が保険料を負担していた部分の死亡保険金

 従業員が加入する生命保険の保険料を雇用主が負担していた契約において、支払われる死亡保険金は退職手当金等として取り扱う旨が会社で定められている場合は、相続人が受け取る死亡保険金は退職手当金として取り扱われます。

 退職手当金は、みなし相続財産として相続税の対象になります。また、相続人が受け取る退職手当金は「500万円×法定相続人の数」を限度に、非課税の適用を受けることができます。

 なお、同じように雇用主が保険料を負担していた生命保険で、今回のケースとは異なり会社が退職金として支給する取り決めがない場合は、保険料は従業員が負担したものとみなし、下記2.と同様に生命保険として取り扱われます。

2.旦那様が保険料を負担していた上乗せ部分の死亡保険金

 旦那様が保険料を負担していた部分から支払われる死亡保険金は、個人が契約する生命保険と同様に保険料負担者、被保険者、死亡保険金受取人の関係をもとに税務上の取扱いを判断します。

 今回のケースでは、保険料負担者と被保険者が共に旦那様であるため、支払われる死亡保険金はみなし相続財産として相続税の対象となります。また、相続人が受け取る死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」を限度額として、非課税の適用を受けることができます。上記1.の退職金の非課税枠とは別に適用します。

3.会社から支払われる弔慰金

 下記の金額までは相続税の対象となりませんが、超える部分は退職手当金等として相続税の対象となります。

(1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与(※)の3年分に相当する額

(2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与(※)の半年分に相当する額

(※)俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額

 上記1.~3.に加え、旦那様が所有していた財産総額によって相続税が発生するか否か、および税額も変わります。相続税に関する不明な点は、当事務所までお気軽にご相談ください。

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 あまりに便利になりすぎ、止まる事はないと思っていた、
 電気、水道やガスなどのインフラ。
 ここ数年、地震や台風、大雪などで災害に巻き込まれると、
 案外簡単に「ストップ」するものだと痛感させられます。

 特に冬場では、生死にかかわることもありますから、
 非常時でも暖房器具は使えるように備えておく必要があります。
 最近の災害発生時では、カセットコンロが重宝され、
 非常時備品として推奨している自治体もあります。

 近年は地震の活動期に入っているといわれ、
 地震だけでなく大きな災害が、毎年のように発生していいます。
 「油断大敵」、「備えあれば憂い無し」の言葉を肝に銘じて、
 身近なことから対策を守っていきたいものです。

 イワタニの創業者 岩谷直治氏がガスと巡り合ったのは、
 彼がまだ運送会社で丁稚奉公していた時でした。
 その後に戦争景気や敗戦後の都市整備につれ、
 産業ガスやプロパンガスの需要が大きく膨らむことになるのですが、
 岩谷氏は2つの経験をすることになります。
 
 運送会社の主人は、鋼板の切断や溶接に使われる酸素ガスが、
 造船などの重工業の発展につれ需要が増えること見込み、
 商売としては敬遠されがちだった
 酸素ガスの運搬を一手に引き受けたのでした。
 
 岩谷氏は悟りました…
 「他人のやらないことをするのが商売のコツである」
 
 また、プロパンガスは石油採掘現場や精製工場で発生する厄介者扱いで、
 長年大気中に放出されていたのです。
 「プロパンガスをイタリアでは缶詰にして売っている」と、
 ヨーロッパでのガス事情を耳にして。
 
 岩谷氏は閃きました…
 「自分が求めていた、大衆に奉仕できる事業」
 
 世間では、プロパンガスの事を「ロシアのパン」と言われて、
 食べるパンと勘違いされていた程だったのです。
 そんな中、岩谷氏が目を付けたのが都市部から離れた温泉地の旅館でした。
 
 「毎日何十人、何百人の宿泊客のために一斉に食事を用意するには、
 プロパンガスが役に立つはず」
 最初に、候補に挙がったのは、本社のある大阪に近い有馬温泉でした。
 見事に気難しい旅館の板長の審判をクリアーすることができ、
 宮津、城崎、白浜、そして全国の旅館へ広めていったのです。
 
 岩谷氏の最終目標はプロパンガスを
 一般家庭の主婦に認めてもらうことでした。
 その理由は、薪による家事の重労働からの開放と、
 煙から健康を守ることだったのです。

 普及の足がかりに選んだのは岩谷氏の故郷である島根県でした。
 しかし、島根県は保守的な土地柄であり、
 おまけにプロパンガスのライバルである木炭の有数な産地であったのですが、
 岩谷氏は故郷の地縁をうまく生かし、
 ライバルであった木炭商の転業を成功させたのです。
 
 こうして、イワタニのプロパンガスは一気に、
 全国の家庭に広がっていくことになります。
 その後のヒット商品、カセットコンロは都市ガスの引かれた家庭でも
 利用され、アウトドアには欠かせないアイテムとなっています。

口約束で貸した土地に建てた小屋の撤去

今回は相談事例を通じて、口約束で貸した駐車場に建てた小屋の撤去について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先日亡くなった母から相続した不動産(空き地)についての相談です。
 この空き地は母が生前に駐車場として第三者に無償で貸し出していたものなのですが、最近になって見に行ったところ、プレハブ小屋が建っていました。そこで、私から借主に抗議したのですが、借主曰く、元々口約束で母から「この空き地は自由に使ってよい」といわれていたとのことです。
 もっとも、私自身は母からそのようなことは聞いていませんし、母がいなくなったことをいいことに好き放題しているだけではないかと思っています。借主にプレハブ小屋を撤去させる方法はないでしょうか。

 なお、母は空き地を貸し出すにあたっては、特に契約書は作っていなかったようですし、また、いつまで貸すといった話も聞いていません。

A-1
ワンポイントアドバイス

 お母様と借主との間で契約書は作成されていないとのことですが、契約は口頭の合意でも成立することから、本件では上記空き地(以下、「本件不動産」といいます。)を対象に駐車場としての利用を目的とした使用貸借契約(民法第593条)が成立していると考えられます。

 そして、使用貸借契約の目的物につき、契約により定まった方法に従い使用しなければならないところ(同法第594条3項)、仮に相談者様の述べるとおり、本件不動産を駐車場として借主に貸し出していた場合、借主が本件不動産上にプレハブ小屋を建てることは、用法順守義務違反にあたります。

A-2
詳細解説

 この場合、相続により貸主の地位を相続した相談者様において、用法順守義務違反を理由に、本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件不動産の明渡しを求めることが考えられます。

 他方で、借主の述べるとおり、使用期間の定めがなく、借主において相談者様のお母様から本件不動産を「自由に使ってよい」といわれていた場合にも、本契約は目的を定めない使用貸借契約となるため、貸主において自由に解約することができます(同法第598条2項)。

 そのため、相談者様はいつでも本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件土地明渡しを求めることが可能だと考えられます。

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まだ役員ではない後継予定者と事業承継税制の適用

2025年5月の役員改選で役員に就任する予定ですが、事業承継税制の特例措置は適用できますか?

Q
今月のご相談

 相続対策を兼ねて、息子の社長就任にあわせて、私が所有している会社(非上場)の株式を贈与しようと思います。
 「事業承継税制」を利用すればこの贈与に係る贈与税が免除されるようですが、まだ息子は会社の役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)でまずは専務に就任させる予定です。その後、事前の計画の提出を行い、特例措置の適用を受けたいと考えていますが、問題ないでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 「事業承継税制」の受贈者要件として、贈与日まで3年以上会社の役員である必要があります。特例措置に係る贈与の適用期限は2027年12月31日となっており、2025年5月の役員改選での役員就任では、この要件を満たすことはできません。遅くとも2024年中の役員就任が必要です。

A-2
詳細解説
1.事業承継税制とは

 事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(いわゆる「円滑化法」)」に基づく認定を受け、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度をいいます。

 事業承継税制は、大きく、非上場会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」に分かれます。

 ご相談のケースは、非上場会社の株式ですから、法人版事業承継税制を指します。

 法人版事業承継税制には以下2つの措置があり、主な相違点は下表のとおりです。

●特例措置と一般措置の主な相違点
  特例措置 一般措置
事前の計画策定等 特例承継計画の提出
[2018年(平成30年)4月1日から2026年(令和8年)3月31日まで]
不要
適用期限 次の期間の贈与・相続等
[2018年(平成30年)1月1日から2027年(令和9年)12月31日まで]
なし
対象株数 全株式 総株式数の最大3分の2まで
納税猶予割合 100% 贈与:100%
相続:80%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件 弾力化 承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 あり なし
相続時精算課税の適用 60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 60歳以上の者から18歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与
出典:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)」
2.贈与税の納税猶予及び免除に係る受贈者の要件

 法人版事業承継税制について、贈与税の納税猶予及び免除を適用するには、様々な要件を満たす必要があり、後継者である受贈者の要件もそのうちの1つです。

 たとえば後継者である受贈者の主な要件として、以下が挙げられます。

  • 贈与の時において、会社の代表権を有していること
  • 贈与の日において、18歳以上であること
  • 贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること
  • 贈与の時において、後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること
  • 贈与の時において、後継者の有する議決権数が、次のイ又はロに該当すること(特例措置の場合)
    イ 後継者が1人の場合
    後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
    ロ 後継者が2人又は3人の場合
    総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
3.ご相談のケース

 上記2.のとおり、受贈者の要件に「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」があります。

 ご相談のケースでは、ご子息はまだ役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)で専務に就任予定とのこと。上記1.のとおり、事業承継税制の特例措置には適用期限が設けられており、2025年の役員改選時での役員就任は、「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」の要件を満たすことはできず、特例措置の適用を受けることはできません。

 そのため、特例措置の適用を受けたい場合には、遅くとも年内(2024年中)に役員に就任する必要があります。

 なお、一般措置であれば現状適用期限が設けられていないため、2025年の役員改選時での役員就任であっても、適用できる可能性は考えられます。一般措置の適用も検討されてはいかがでしょうか。

 事業承継税制に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
国税庁HP「事業承継税制特集

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2024年7月31日

夏季休業日のご案内

弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。

休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

■夏季休業日 8月10日(土)~8月15日(木)

 夏休みに入り、小さなお子様をお持ちのお父さんお母さんは、
 日中の過ごし方に、頭を悩ませる時期となりました。
 連日に亘る猛暑の中、外へ遊びに出すことも出来ず、
 家の中にいると暴れ放題…といった始末に。

 そこで、学校が休みに期間を狙って、盛んに行われているのが、
 鉄道沿線を巡る「スタンプラリー」です。
 JR各社が行っているテレビアニメを題材にした、
 スタンプラリーが有名なところでしょう。

 私鉄系のスタンプラリーでは、人気ゲームのキャラクターも加わり、
 ますます盛り上がりを見せています。
 夏場に客足が落ちる電鉄各社にとっては収入の穴埋めとして、
 親にとっては、安上がりなイベントとして重宝されているそうです。

 大人向けにも、過疎化や少子化などで運行が終了となった、
 鉄道の廃線を訪ねる「廃線ウォーク」も、最近は人気となっています。
 その地元に住んでいた人ばかりでなく、
 ノスタルジックな雰囲気を感じられる観光スポットもあり、
 ちょっとしたタイムスリップ気分も味わえます。

 京都に電車が登場したのは、明治28年のことです。
 首都である東京に先立ち、日本初の電車として
 路面電車を走らせたことが始まりとされています。

 その後、その路面電車は京都市の公営として、
 市街地中心部および南部を走る
 「市電」として運営されるようになります。

 「嵐電」は京都市西部と市電の運行区域を結ぶ、
 交通手段として1910年に開業します。
 当時、電車を運営する会社の多くは電気の供給事業も行っており、
 嵐電も電気の供給事業会社(現在の電力会社)に吸収され、
 住民への電気供給と、交通の足として発達していく事になります。

 しかし、マイカーの普及と共に乗客数は減少を辿り、
 市電の廃業も加わり経営は日増しに苦しくなっていくのです。
 現在は、大阪市南部と京都、滋賀を結ぶ鉄道、
 「京阪電気鉄道(京阪)」のグループ会社となっています。

 明治の経済界を引っ張って活躍し、
 「銀行の父」と称された渋沢栄一氏らの掛け声の下、
 並行する国営鉄道(現在のJR)に対抗する鉄道として発足したのです。

 京阪の運営も決して順風満帆ではありませんでした。
 自社路線に並行する路線を他社に開業させることを阻止するため、
 大阪市北部から京都、奈良、和歌山を結ぶ各路線を開業しようとしましたが、
 不況により計画は頓挫し、いくつかの路線は他社に明け渡すことになります。

 一時、戦争による政府の統制により
 「阪急電鉄(阪急)」と合併することになりますが、
 戦後、再度分離する際には、残った大阪市北部から京都を結ぶ路線を、
 阪急に明け渡すことになってしまうのです。

 最初の名は、箕面有馬電気軌道という名で、
 大阪と紅葉名所や温泉地を結ぶ、遊覧鉄道と見られていました。
 しかし、その鉄道は小林一三氏の斬新なアイデアにより、
 後の阪急電鉄と変身するのです。

 新しいインフラの誕生と、直後の乱立、統合から淘汰への流れは、
 インターネットや携帯電話に係わる事業の流れとダプってしまいます。
 成長分野へ足を踏み入れることは、企業の成長にとって大切なことですが、
 その後には同じような流れがあることをお忘れなく!

共有地の解消

弟と共有している貸駐車場について共有を解消したいと考えています。有効な対策を教えてください。

Q
今月のご相談

 私と弟の二人で相続した貸駐車場(共有地)があります。収支はプラス、かつ2人の仲は良好のため、全く問題視してきませんでしたが、2人とも妻子がいるため、お互い元気なうちに何かしらの対策を講じた方がよいと思うようになりました。つきましては、有効な対策を教えていただきたいと思います。

A-1
ワンポイントアドバイス

 通常、兄弟姉妹間の共有地は、その共有者の相続が発生するたびに共有者は増加します。共有者が増加すると、意思疎通が難しくなり、共有地の利用(活用)及び売却が難しくなります。よってご相談のとおり、意思疎通が容易であるうちに、何かしらの対策を講じた方がよいと思われます。

A-2
詳細解説

 以下、3つの対策をご提案いたします。

1.共有物分割(現物分割)

 ここでいう共有物分割とは、共有地を分筆(分割)し、各々が持分に応じた土地を単独所有することです。例えば、南側道路のみに面した整形地の持分を各々2分の1所有している場合は、面積が等しくなるよう東西に分筆することになります。なお、分筆線は価額で決定するため、共有地が変形地や角地等の場合は、面積が等しくならない場合があります。

 ご相談のケースでは、共有物分割後も2筆を共同で駐車場として賃貸することが可能です。しかし、所有地単独での利用及び売却について困難が予想される場合は、将来を見据えた上で、共有物分割をより慎重にご検討いただく必要があります。

【主な諸費用】

確定測量及び分筆費用、司法書士費用、登録免許税(軽減あり)、印紙税

2.相手方の共有持分を購入・相手方へ共有持分を売却

 相手方の共有持分を購入または相手方へ共有持分を売却することにより、共有を解消します。なお、同族間の売買となるため、その価額については、みなし贈与と判断され、贈与税が課税されることがないよう慎重に決定する必要があります。そのため、不動産鑑定評価や公的評価を参考にして決定する場合が多くなります。

 この対策は、共有者間の利益が相反するため、純粋に共有解消が目的の場合、実現が困難な対策になるかもしれません。

【主な諸費用】

司法書士費用、印紙税、不動産鑑定費用(実施する場合)
売主:譲渡所得税等
買主:登録免許税、不動産取得税

3.共同で売買

 共有地を共同で売買します。諸費用は一番高額となる可能性が高いですが、売買代金はその諸費用を大幅に上回る場合がほとんどです。

【主な諸費用】

確定測量費用、不動産仲介手数料、司法書士費用、印紙税、譲渡所得税等

 上記3つの対策にはそれぞれ一長一短があり、各共有者の意向及び共有地の個別的要因により、選択する対策は異なってきます。個人的には、継続所有を前提とした場合は1.、前提条件がない場合は実質的な費用負担がない3.を選択されるケースが多いとの印象を受けています。いずれにしましても、共有者間で慎重に検討の上、早期に共有を解消されることをお勧めします。

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被保険者と保険金受取人が同時に亡くなった場合

被保険者である父と受取人の長女が同時に亡くなりました。この場合、保険金受取人は誰になるのでしょうか。

Q
今月のご相談

 父と長女が交通事故で同時に亡くなりました。父は長女を受取人とする生命保険に加入していましたが、誰が死亡保険金を受け取ることになるのでしょうか?

【契約内容】
  • 契約者(保険料負担者):父
  • 被保険者:父
  • 死亡保険金受取人:長女
  • 保険金額:3,000万円
  • 特記事項:約款での別段の定めなし
A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談の場合、保険金受取人はご長女様の相続人である、旦那様(E)とそのお子様(F、G)の3人となります。保険金は、それぞれ均等に1,000万円ずつ受け取ることになります。

A-2
詳細解説
1.死亡保険金の受取人は誰になる?

 生命保険契約では、保険事故発生前に指定されていた保険金受取人が死亡した場合、契約者は当該受取人を再指定することができます。ただし今回のケースのように、契約者と保険金受取人が同時に死亡している場合は、再指定をすることができません。

 このように、再指定をしないで死亡した場合には、約款等で別段の定めがある場合を除き、保険金受取人として指定されていた方の相続人が、当該保険金を受け取ることになります。この場合に、保険金受取人が複数であるときは、約款等で定められている場合を除き、均等に受け取ります。

 今回のケースは約款等で別段の定めがないため、それぞれ一般的な取扱いとなります。つまり、保険金受取人は、保険金受取人として指定されていたご長女様の相続人である旦那様(E)と、お子様(F、G)となります。また、受け取る保険金額は、それぞれ均等に1,000万円ずつです。

2.死亡保険金の非課税規定の適用可否

 死亡保険金の非課税規定が適用されるのは、お父様の相続人が取得した死亡保険金に限られます。

 したがって今回のケースでは、代襲相続により、ご長女様のお子様(F、G)がお父様の相続人となるため、非課税規定が適用されます。ご長女様の旦那様(E)はお父様の相続人ではないため、非課税規定は適用されません。

【お父様の相続人】
お母様(B)、ご相談者様(D)、ご長女様のお子様(F、G) 計4人
【死亡保険金の非課税規定の適用を受ける人】
ご長女様のお子様(F、G) 計2人
3.計算式

【非課税限度額】
500万円×4人(法定相続人の数 B、D、F、G)=2,000万円

【相続人となる受取人の保険金合計】
1,000万円(F分)+1,000万円(G分)=2,000万円

【F、Gの非課税財産控除額】
2,000万円×1,000万円/(1,000万円+1,000万円)=1,000万円

【各人が受け取る死亡保険金の相続税課税価格】
ご長女様の旦那様(E):1,000万円-0=1,000万円(受け取った死亡保険金がそのまま課税価格になる)
ご長女様のお子様(F、G):1,000万円-1,000万円=0円

 今回のケースでは、約款での別段の定めがないものとした保険でした。保険によっては、受取順位や受取分が約款で別途定められている場合があります。死亡保険金請求の前に、該当契約の約款を確認するか、保険会社に問い合わせをしましょう。

 なお、いつお亡くなりになるかは誰にもわかりません。保険金受取人を指定する場合には、仮にその人がお亡くなりになった場合に、代わりに誰が受け取ることになるのかまで想定しておくことも肝要でしょう。

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 オリンピックで金メダルを獲れば、一生が保証されるという
 国があるのに比べて、日本では大手企業のスポンサーがつく、
 ごく一部の選手以外は一生安泰とはいえないのが実状です。

 そんな中、卓球やアーチェリーなど、マイナーな競技の選手まで、
 スポーツ支援、選手育成に一役買っているのが、
 子供服メーカーのミキハウス(三起商行)です。

 開催間近のパリ五輪では在籍中、8人が内定しています。
 また、元プロ野球選手の桜井俊貴投手や
 モータスポーツの野田樹潤選手などにも支援の幅を広げ、
 従来の枠組みにとらわれず活動を続けている事でも有名です。

 ミキハウスの創業者 木村皓一氏は、
 家業である婦人服メーカーの跡取りでありながら、
 独自の道を歩き始めます。

 同じ婦人服だと、商売敵になるのでまずいと思い、
 子供服にターゲットを絞ります。
 既に、ベビー、幼稚園、小学校低学年、
 それぞれの年代のブランドがあったのですが、
 ベビーと幼稚園の間の年代(1~3才)の子供服が
 ないことに目をつけたのです。

 当時は女性向けのファッション誌が創刊された時期でもあり、
 ファッションに対して関心が強くなってきている時期だったので、
 子供向けの高級ブランドを目指すことに決めます。
 といっても、先立つものも売る相手もありません。
 当てもなく、サンプルを持ち九州へ営業に出かけるのですが、
 当然門前払いの日が続きます。
 起死回生にとセールストークを見直して小倉の小売店に飛び込むと、
 見事的中、取引を取り付けることが出来たのです。

 その後、順調に取引は増えるのですが、
 お金がないため商売を大きく出来ない。
 作ったものは、すぐに売り切れが出る程ですが、
 なかなか生産が間に合わないのです。
 そのうちに、同業者がマネをして、大量に作って売り捌いてしまうのです。

 小売店への卸売りは、順調に伸びてきましたが、
 ひとつの壁が立ちはだかります。
 ミキハウスでは、早くから「トータルコーディネート」
 を目指して商品作りをしていたのですが、
 お店が欲しいものだけが店頭に並び、メーカーの立場では限界でした。

 京都のショッピングビルの一角のテナントを皮切りに、
 自らの手で店造りから、商品陳列まで企画できる、
 小売業へ進出することにするのです。
 これが80年代の一大ブームを起こすきっかけとなり、
 ミキハウスは急成長することになるのです。

 木村氏が歩んできたのは、起業家の王道といえるような
 道筋のように思えます。
 お金も信用も無い最初の頃は、自らが小売店へ足を運び売り歩く、
 労力をかけてお金を稼ぐようなものです。

 信用がついてくると、小売店の方から買いに来てくれるようになるので、
 注文をとりに回らなくてよくなる代わりに、
 商品の開発と生産に力を入れるようになります。

 同業者が同じような商品を作り出すと、
 差別化のため、独自のブランドイメージを作らないといけなくなります。
 そこでは、独自の店舗や広告で、
 ブランドをアピールすることにお金をかけることになるのです。

 起業を「一か八か」の博打のように思っていらっしゃる方には、
 お気の毒なお話ですが、小さな事業を大きくするには、
 いくつものステップを踏んでいかなくてはなりません。
 気持ちが焦るがあまり、ひとつでもステップを飛ばしてしまうと、
 取り返しがつかない、大やけどを負うことになります。
 たまに才能とタイミングに恵まれる幸運な人が登場するので、
 目を奪われがちですが、事業もスポーツも根本は同じ、
 一つ一つステップを登っていくことです。

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