お知らせ

 喫煙に対する規制が強くなったこともあり、
 タバコの自動販売機(自販機)はかなりの数が姿を消しました。
 郊外に行けば、自家野菜や玉子を売る自販機を目にすることもありますが、
 街中で見かけるのは、飲料水や缶コーヒーの自販機ばかりになりました。

 コンビニやフードコートが広がるまでは、
 街角や人が集まる場所で一風変った自販機を目にしたものです。
 そんな、レトロな自販機を集めた「自販機食堂」が群馬県にあり、
 ちょっとした観光スポットとなっているようです。

 メニューは、ハンバーガー、トースト、うどんやラーメン。
 値段は安いとはいえないけれど、麺類28秒、トースト40秒、
 ハンバーガーは68秒と、ファストフード顔負けの速さが売り物です。

 道路を挟んだ向かいにコンビニがあるものの、
 物珍しさに惹かれて訪れる人、当時を懐かしんで来店する客が後を絶たず、
 平日で100食、休日は200食を超える売上があるそうです。  

 現在のように、街角のいたるところに自動販売機が設置でき、
 販売を支えているのが、硬貨、紙幣の認識技術です。
 この技術に早くから取り組んだのが、立石電機(現 オムロン)です、

 最初に開発を手がけたのは食券自動販売機でした。
 私鉄の路線延長に備えて、百貨店が新駅に通じる地階に、
 新しく食堂コーナーを作る計画をしたのです。
 その食堂に、食券の自動販売機を導入する構想が持ちあがります。

 3種類の硬貨を利用し、偽造を見分け、7種類の食券を販売するという、
 開発陣も尻込みするほど、とても高い性能を要求されましたが、
 見事に完成させ63年に7台の納入を果たします。

 自動制御装置にコンピュータを組み合わせた技術は、
 次々と新しい製品に開花していきます。
 アメリカのメーカーの依頼で、食券の自動販売機の技術を応用した、
 クレジットカード用の自販機システムを手がけることになります。

 現地では、食事をする前に前払いする習慣が無かったため、
 いわゆる後払い形式のクレジットカード方式に切り替えての開発でした。
 製品発表は大々的にマスコミに取り上げられ、
 新聞やテレビで報道されましたが、一方販売は伸びませんでした。

 しかし、その技術は無駄にされることなく、
 銀行の窓口無人化システムにつながります。
 66年に金融会社から入った、紙幣自動貸出機の開発依頼を皮切りに、
 銀行向けのCD(自動預金支払機)を手がけ、
 ATM(自動現金引き出し、預け入れ装置)に引き継がれたのです。

 30年、オムロンの創業者 立石一真氏が独立開業を決意したのは、
 折からの不況で、勤めていた会社の希望退職に応じたものの
 就職口がみつからず、再就職できなかったからです。

 最初は、自らが考案した、ズボン挟み器(ズボンプレッサー)や
 ナイフグラインダー(包丁研ぎ器)を売り歩き、
 細々と生計を立てていましたが、持っていたお金も底を尽き、
 その日の米代まで不自由するようになります。

 途方にくれ、周囲に仕事がないかと訪ね歩いていたところ、
 友人がレントゲン撮影用のタイマーの話を持ってきてくれます。
 鮮明な映像を撮るために、20分の1秒を計る必要があったのですが、
 それまではゼンマイ仕掛けで、正確に測定できなかったのです。

 立石氏は、2ヶ月掛かりで2台の試作品を完成させメーカーに持ち込みます。
 大阪の病院で行われた、タイマーの立会い試験では、
 合格の結果を受け、はじめて大口の注文を受けることが出来たのです。
 こうして、「継電器(リレイ)」の専門工場として
 立石電機の基礎が出来上がったのです。

 今回は相談事例を通じて、一切の財産に含まれるものについてご紹介します。

 父が亡くなりました。相続人は長男の私と母の2人です。遺言書の中に「長男〇〇に一切の財産を相続させる」という文言がありました。この「一切の財産」の中には債務も含まれるのでしょうか。遺言書には、債務に関しては何も書かれていません。

 ご質問への回答として最高裁判決がありますので、以下にご紹介します。

 「相続人のうちの1人に対して、相続財産の全部を相続させる旨の遺言がなされた場合、特段の事情のない限り、当該相続人に債務も全て相続させる意思が表示されたものと解すべきである。」(最高裁平成21年3月24日判決)

 ご質問には、「一切の財産」と表示されており、一方上記判決では「相続財産の全部」との表示ですが、これは同じ意味と理解してよいでしょう。

 上記最高裁判決の根拠は、民法第899条です。同条には、「各共同相続人は、その相続分に応じて、被相続人の権利義務を承継する。」と規定されています。従って、相続人はプラスの財産ばかりではなく、相続分に応じて「義務」すなわち被相続人の債務も相続することになります。

 上記第899条の「相続分」ですが、通常は「法定相続分」(民法第900条)によりますが、遺言では、法定相続分と異なる相続分を指定することができ(民法第902条第1項)、その場合は、その指定された相続分での相続となります。ご質問の場合、指定された相続分は上記最高裁判決と同様に「全部=100%」ですから、相続人は、被相続人の債務も全部=100%相続することになります。

 なお、上記はあくまで相続人間での債務の承継の話です。債権者としては何も関知しえないところで債務の承継が決まることはありませんので、債権者は遺言に従わずに、法定相続分に応じて請求することは可能です(その場合、遺言で相続しない妻は、債権者への弁済分を、子に求償することになります)。

 

 

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 2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、相続税の計算における未成年者控除はどうなりますか?

 相続人が未成年者の場合、「未成年者控除」として満20歳に達するまでの年数に応じた一定の金額を相続税額から控除してもらえると聞いています。2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、この「未成年者控除」はどうなるのでしょうか?

 成年年齢の引き下げにあわせて、「未成年者控除」が適用できる年齢や控除額の計算が改正されました。

1.未成年者控除とは

 相続人が未成年者である場合には、相続税の額から一定の金額を控除します。この控除を「未成年者控除」といいます。

 未成年者控除を適用できるのは、次のすべての要件を満たす人です。

  • (1)相続又は遺贈により財産を取得した法定相続人(日本国籍を有していない人など、一定の人は対象外です。)であること
  • (2)上記(1)の法定相続人とは、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
  • (3)上記(1)の法定相続人は、その相続又は遺贈により財産を取得したときに未成年者であること

 上記(3)の「未成年者」の年齢が2022年3月までは「20歳未満」でした。これが、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、未成年者控除における「未成年者」の年齢も2022年4月から「18歳未満」に引き下げられました。

2.未成年者控除額

 未成年者控除額は、以下の算式により計算します。

【控除額】
10万円×成年に達するまでの年数(1年未満切上)

 「成年」とは、2022年3月までは「満20歳」でした。

 これが、2022年4月からは民法の成年年齢にあわせて「満18歳」に改正されました。

 つまり、2022年4月からの控除額の計算は、以下の通りとなります。

【控除額】
10万円×満18歳に達するまでの年数(1年未満切上)
3.適用開始時期

 この改正は、2022年4月1日以後の相続又は遺贈から適用されます。

4.留意点

 未成年者控除については、未成年者本人の相続税額より控除額が大きくなるために引ききれない場合があります。この場合には、その引ききれない部分をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

 今回の改正により、単純計算で控除額が最大20万円(2年×10万円)減少することとなりますので、このような引き切れない部分を差し引ける金額も当然少なくなることが予想されます。

 孫養子などで未成年者を相続人とした場合に有効活用してきたこの未成年者控除について、今般の改正点を改めてご確認ください。

 なお、既に未成年者控除の適用を受けたことがある場合には、一定の控除限度額の計算があります。その点もご留意ください。

 過去に税額計算をシミュレーションされた方は見直されると良いでしょう。
 相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP「No.4164 未成年者の税額控除」など

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 毎年、数え切れないくらいの新製品が登場する飲料水のなかで、
 生き残れる製品はわずか数製品といわれています。
 炭酸飲料が世の中に出回りはじめた頃には、
 ラムネが出荷量の大半を占めていました。
 しかし、親しまれた独特な形にこだわったことが
 普及に歯止めを掛けることになってしまったのです。

 同じようでいて、名称が違っている、「ラムネ」と「サイダー」。
 感のいい方は気づいておられると思いますが、
 どちらも、語源は外国語からきています。

 ラムネは、英語のレモネードが訛ってできた言葉で、
 サイダーは、フランス語のりんご酒を意味するシードルという言葉が
 変化してできた言葉だといわれています。

 そんな名称が出来上がった経緯が表すように、
 ラムネはレモン味をつけた炭酸水が最初でした。
 一方のサイダーは、イギリスでりんご酒に炭酸水を加えたものが
 シャンパンサイダーと呼ばれていて、
 これを参考にした飲み物が始まりとされています。

 ラムネは世の中に普及する途中で、
 皆さんがよくご存知のビー玉が入った、腰がくびれたビンの形になりました。
 そんなことから、中身の味よりビンの形から、
 サイダーとは分けられるようになったのです。

 どちらも世の中に広まったのは明治以降のことで、
 庶民の味として親しまれることになります。
 サイダーは、現在も他の炭酸飲料と肩を並べる存在としてたくさん飲まれています。
 しかし、ラムネは駄菓子屋さんでの飲み物として、
 郷愁を感じる存在としてのみ残っています。

 昭和に入り、各社から透明なものを含め、
 数えないくらいの炭酸飲料が発売されるようになります。
 そんな熾烈な競争の中でも、サイダーが生き残っているのは、
 三ツ矢サイダーの存在が欠かせません。

 三ツ矢サイダーは、明治から昭和にかけて行われた政府主導の
 ビール製造会社の統合、分割の波の中でビール会社の子会社となります。
 先にお話したように、サイダーはお酒に近い趣向で飲まれていた経緯があったので、
 事業の一環として炭酸飲料とビールを取り扱うことが多かったのです。

 再編の後、三ツ矢サイダーはアサヒビールの子会社となるのですが、
 当時のアサヒビールは、市場でのシェアが低迷して赤字が続いていました。
 シェアが10%を切った時には、倒産は時間の問題とさえささやかれていたのです、
 ビール事業が不振な中で、会社を支えていたのは三ツ矢サイダーの利益でした。

 買手が見つかりにくい土地とは、どういった土地でしょうか。

 相続で取得した複数の土地の管理が大変なので、将来の相続を見越して今のうちから整理しようと思っています。土地の中には買い手が見つかりにくいものがあると聞きました。どのような土地が該当するのでしょうか?

 買い手が見つかりにくい土地とは、一般的に建築物を建築しにくい、もしくは建築できない土地や、建物を建築する際の費用が高額になる可能性がある土地と考えられます。具体的には、詳細解説をご参照ください。

 買い手が見つかりにくい土地として、代表的な土地をいくつか次に示しました。

1.不整形地

 不整形地とは、長方形や正方形といった四角形ではない土地のことをいいます。

 L字型や三角形など、建築できる建物の規模・形状が限られる土地の場合、同じ面積の整形地の土地と比較して活用が難しく、相場より価格が下がります。

 また、建物の敷地は、道路と2m以上と接していなければなりません。古い既成市街地などで2mに満たない土地では、相場より極端に価格が低くなる可能性があります。

2.がけ地や急傾斜地

 建物を建築することが不可能なくらいの急傾斜地や、がけの擁壁工事が必要な土地の場合、安全性の高い土地にするための造成費用がかかるため、一般的な相場より価格が低くなる可能性があります。また、急傾斜地の場合、法令により土砂災害警戒区域等に指定されていることもあり、その場合も相場より価格が低くなる可能性があります。

3.前面道路の幅員が狭い土地

 建築基準法により、建物の敷地は幅員4m以上の道路に接していることが求められます。これを満たしていない場合、建物を建築するには道路の中心線から敷地を2m以上後退させなければなりません(セットバック)。そのため活用できる敷地面積が減少し、相場よりも価格が低くなります。また、車の出入りが難しいというデメリットもあります。

4.極端に面積の広いもしくは狭い土地

 あまりにも面積が広い、もしくは狭い土地になると、利用用途が限定、もしくはないものとされてしまい、買い手が見つかりにくくなります。

5.市街化調整区域内の土地

 都市計画法により市街化調整区域に指定されている区域は、市街化を抑制すべき区域とされており、建築物の建築も制限されています。建築物を建築できない土地では用途が限定され、買い手が見つかりにくくなり価格も低くなります。ただし、例外的に建築できる場合もありますので、必ず専門家にご確認ください。

 所有されている土地が上記にあてはまる場合には、買い手が見つかりにくい土地である可能性が高いと考えられます。

 いずれにしろ、土地の整理をされる前に不動産業者に物件調査及び査定を依頼した上で、今後の利用方法や利用予定がないと判断した場合の売却等の対策を検討されることをお勧めいたします。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 死亡保険金は請求をしてからどれくらいで支払われるのでしょうか。

 先日父が亡くなりました。父は生前、終身保険に加入していたようです。請求予定の死亡保険金を葬式代の支払いに充てたいと思っていますが、受け取りまでにどれくらいの日数がかかるのでしょうか?
 請求にあたり準備すべき書類や注意事項があれば、あわせて教えてください。

 大抵の保険会社は、請求書類が保険会社に到着した日の翌日から5営業日以内に保険金を支払います。また、保険金請求の流れ等については、詳細解説をご参照ください。

1.保険金請求の流れ

 ご相談のケースのような場合、一般的には次の流れで保険金を受け取ります。

(1)保険会社に連絡する

 契約者、保険金受取人から保険会社に連絡をしましょう。その際、保険証券に記載されている証券番号をお伝えいただくと、スムーズに請求手続が行えます。

(2)必要書類の記入

 上記(1)の後、保険金請求に関する書類が郵送されます。受取人が書類の記入を行い、請求に必要な書類を揃えて保険会社へ提出します。
 請求に必要な書類は、主に次のとおりです。

【請求に必要な書類】
  • 保険金請求書
  • 被保険者の住民票
  • 受取人の戸籍抄本
  • 受取人の印鑑証明書
  • 死亡診断書
  • 保険証券 など
(3)保険金の受け取り

 請求書類に不備がない場合は、請求書類が保険会社に到着した日の翌日から起算して、5営業日以内に支払うと定めている保険会社が多くなっています。

 ただし、保険金の支払いにあたり、確認・照会・調査が必要な場合はこの限りではありません。約款に定める所定の期限までに保険金・給付金を支払うことができない場合、保険会社は所定の利息(遅延利息)をつけて支払います。

例)土日休業の保険会社に対して金曜日に書類が到達した場合

2.注意点

 注意事項として、亡くなる前に入院・通院などの治療をされていた場合、死亡保険金だけでなく、入院・手術給付金も対象となるケースがあります。

 死亡保険金請求をする際、他に加入していた契約がないか、給付金請求に漏れがないかを保険証券や加入内容のお知らせでご確認いただくとよいでしょう。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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この度サイトをリニューアルいたしました。
今後ともよろしくお願い致します。

 今回は相談事例を通じて、相続登記義務化の施行時期などについてご紹介します。

 相続登記の義務化がスタートすると聞きました。具体的に、いつから何が変わりますか。

 長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために、不動産に関するルールが見直され、今般、施行日が定められました。相続登記に関連する改正については、2024年(令和6年)4月1日に施行されます。

1.相続登記の義務化(2024年4月1日施行)

 相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
 施行日よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。2024年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には、2024年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(2024年4月1日施行)

 ①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、相続登記申請義務を履行したものとみなされます(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。
 この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので、遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(2023年4月1日施行)

 相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は、原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく、法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。
 10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば、具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)を行うことは可能です。

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 18歳6か月の孫へ贈与した住宅取得等資金について、非課税措置の適用を受けることはできますか?

 2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。
 一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です。通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ転用できる立地の良い物件を検討しています。
 購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。
 気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6か月であることと、購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。
 なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。

 懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については、令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。ただし適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点に、ご留意ください。詳細は以下、解説をご参照ください。

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは

 父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。

 この非課税措置については適用期間が定められており、これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが、これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。2.懸念されている2点について

(1)受贈者の年齢要件

 これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること」でした。

 これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から、“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられます。

 そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば、お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。

(2)築年数の要件

 建築後使用されたことのある住宅用の家屋については、これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」という、築年数の要件がありました。

 これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から、築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。

 そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても、新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。

 なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば、これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため、一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。

 懸念されている点については、以上のようになります。

 非課税措置の適用を希望される場合には、少なくとも年齢要件を満たせるように住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。

 上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。


<参考>
 国税庁HP「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
 財務省HP「令和4年度税制改正の大綱」PDF※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 相続した実家を売却する際に必要となる費用や注意点を教えてください。

 親が亡くなり、実家を相続しました。私には持家がありますので、実家は売却することを考えています。実家を売却する際の諸費用や注意事項について教えてください。

 ご実家を売却する際に必要となる費用は、主に次の4種類です。それぞれの概要や注意事項は、詳細解説にてご確認ください。

  • 登記に要する費用
  • 収入印紙代
  • 確定測量に関する費用
  • 不動産仲介手数料

 不動産を売却する際にかかる費用として、主に次の4つが挙げられます。

1.登記に要する費用

 登記に要する費用とは、売却対象となる不動産の登記の手続きにかかる登録免許税や、手続きを司法書士へ依頼した場合の手数料のことを指します。

 売却対象となる不動産の登記手続きにかかる登録免許税としては、当該不動産に抵当権が付されていれば抵当権抹消登記が必要となる他、ご相談のケースは「相続」であるため、相続登記が必要となります。

 その費用ですが、抵当権抹消登記は不動産1個につき1,000円です。また、相続登記は原則、固定資産税評価額の0.4%となります。

 これらの登記手続きは自分で行うこともできますが、専門家である司法書士へ依頼するとスムーズに行うことが可能です。なお、司法書士へ依頼した場合には別途手数料がかかりますので、ご注意ください。

 物件の内容次第では、手続きの完了までに想定以上の時間がかかる場合もありますので、司法書士へ手続きを依頼する場合には、早めに相談されるとよいでしょう。

 ちなみに、売買に伴う所有権移転登記の手続きは、買手側が行います。

2.収入印紙代

 収入印紙代とは、不動産の売買契約書に貼付する収入印紙の費用のことを指し、収入印紙は郵便局などで手に入れます。

 当該費用は、契約書に記載された売買代金によって異なります。具体的な金額は、国税庁のホームページに掲載されている【印紙税額一覧表】などで、ご確認いただくことができます。

 今回のご相談のケースでは不要ですが、売却する不動産が事業用の場合、売買代金等の領収証にも収入印紙を貼付する必要があります。

3.確定測量に関する費用

 確定測量に関する費用とは、売却対象となる土地と隣接地との境界を確定させる費用のことを指し、土地家屋調査士へ支払います。

 ご実家の土地と隣接地との境界が確定していない場合は、当該費用の負担が生じる可能性が高いといえます。また、境界が確定している場合でも、境界確定日からの経過年数や隣接地所有者の変更等によって、確定測量を行う必要が生じることがあります。

 当該費用は、土地の大きさ・形状(境界点の数)及び隣接地所有者の人数等によって異なります。参考までに、土地家屋調査士に対して実施した報酬に関する実態調査の結果が、日本土地家屋調査士会連合会のホームページに掲載されていますので、URLをご紹介します。地積更正登記報酬が目安になります。■日本土地家屋調査士会連合会HP:「業務報酬統計資料」https://www.chosashi.or.jp/association/disclosure/reward/

4.不動産仲介手数料

 不動産仲介手数料とは、不動産の売買が成立した際、仲介を行った不動産業者へ支払う費用のことを指します。仮に売買代金が税抜で400万円超であれば、『売買代金(税抜)×3%+6万円+消費税』が不動産仲介手数料の上限となります。

 不動産業者に直接売却する場合、不動産仲介手数料は不要となりますが、当該売却代金が市場価格より低額となることがありますので、諸費用控除後の手残り額を考慮した上で、慎重にご判断ください。

 今回は売却時のコストのご相談でしたが、譲渡益があれば、売却後において確定申告が必要となります。取得費が分かる書類の有無や、ケースによっては最高3,000万円まで譲渡益から控除できる特例(空き家の3,000万円特別控除の特例)の対象となるかもしれないなど、実際の税金計算をするには事前に確認すべき事項が多数存在します。最終的にお金がいくら手元に残るのか、試算されたい場合にはこの税金も考慮に入れる必要があるでしょう。

 様々な要件の詳細その他税金に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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