お知らせ

限定承認と生命保険

相続の限定承認をした場合でも、死亡保険金は受け取れますか?

Q
今月のご相談

 先日、父が亡くなりました。生前の父は多額の借金を抱えていたため、相続を放棄しようと考えていたところ、知人から限定承認を勧められました。限定承認とは、どのような制度なのでしょうか?
 また、父は私が受取人の生命保険に加入していたため、受け取りの手続きをしたいと思っていますが、限定承認をした場合でも死亡保険金を受け取ることはできますか?

【父の資産と負債】
  • 資産:1,000万円
  • 負債:4,000万円
【生命保険の契約内容】
  • 契約者(保険料負担者):父
  • 被保険者:父
  • 死亡保険金受取人:私
A-1
ワンポイントアドバイス

 限定承認をした場合でも、死亡保険金を受け取ることは可能です。限定承認の詳しい内容は、詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説
1.相続財産の引き継ぎ

 相続財産の引き継ぎは、大きく分けて「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの方法があります。

  1. ①単純承認
    プラスの財産(資産)もマイナスの財産(負債)もすべて引き継ぐ方法
  2. ②限定承認
    引き継ぐ資産を限度として負債を引き継ぐ方法
  3. ③相続放棄
    プラスの財産(資産)・マイナスの財産(負債)のいずれも全く引き継がない方法

 今回のご相談の資産と負債の額でそれぞれの方法を示すと、以下の図のとおりとなります。

2.限定承認をした場合、死亡保険金は受け取れるのか

 民法では、受け取った死亡保険金は相続によって取得したものではなく、死亡保険金受取人の固有の財産とされています。
 そのため、ご相談のケースにおいて、ご相談者様が限定承認をしたとしても、保険金受取人として死亡保険金を受け取ることができます。これは相続放棄をしたとしても、同様です。

3.死亡保険金の取扱い

 受け取った死亡保険金は、相続税法上ではみなし相続財産となります。相続人は受け取った死亡保険金について、一定の非課税制度を適用することができます。
 相続を放棄した場合には相続人とはなりませんので、当該非課税制度を適用できませんが、限定承認であれば相続人としての地位はありますので、適用することができます。

 なお、限定承認や相続放棄については、申立期限が決まっているなど一定の約束事があります。
 保険金だけでなく課税関係の問題もありますので、相続財産の引き継ぎ方法でお悩みの場合には、当事務所へお気軽にご相談ください。

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