名義預金だと指摘されないためには、どのような点に注意したらよいですか?
孫がこの春に就職します。
お祝いとして孫名義の口座を作って、そこにいくらかのお金を振り込もうと思います。
孫名義であっても、私の財産として相続税がかかってきてしまう話を聞いています。
どのような点に注意すれば、そのような指摘を受けなくてすむのでしょうか。
ご相談者様は、いわゆる「名義預金」といわれる財産となるのを懸念されていると思われます。このような名義預金と指摘されないためには、その預金がお孫様のものだということを明確にしておくことが大切です。どのような点に注意すべきかは、詳細解説をご参照ください。
誰の名義かにかかわらず、被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となります。
例えば、被相続人の配偶者や子、孫などの名義の預貯金(いわゆる「名義預金」)や、株式、証券投資信託の受益証券などの財産であっても、被相続人が資金を捻出していたことや管理状況等から、被相続人の財産と認められるものは、被相続人の財産として、相続税の申告の際に含める必要があります。
名義預金と指摘されないために注意すべきポイントを、3つご紹介します。
通常は、名義人本人が通帳、印鑑、カードなどを保管し、本人が必要とするときにいつでも解約、引出が可能です。
一方、名義人本人ではなく亡くなった人が通帳等を保管しており、預金の引出などを亡くなった人が自由にできるような場合は、どうでしょう。これを名義人本人の財産だといえるでしょうか?
このような場合で名義預金と認定されないためには、なぜ亡くなった人が子や孫名義の口座の通帳等を保管し、自由に使えるようにしていたのか、その口座へは誰のお金を入金したのか、などについて税務署が納得するような理由が必要です。
名義人本人が口座開設を行った場合には、通常は自分の印鑑で届け出をします。もし亡くなった人と同一の印鑑で口座開設を行っていれば、印鑑は亡くなった人が管理し、預金の引出などを自由にできる状態であった、というように想定されます。
したがって、なぜ同一の印鑑で届け出を行ったのか、その口座へは誰のお金を入金したのか、などについて税務署が納得するような理由が必要です。
贈与は、あげる側の「あげましょう」という意思ともらう側の「もらいましょう」という意思、両者の合意があって初めて成立します。もらう側がその事実を知らなければ、贈与は成立しません。
名義人は、その預金口座の存在を知っていますか? 贈与税の申告は行われていますか?
贈与を行う場合には、必ずもらう側(子や孫)へも通知しましょう。
以上の点に注意していただきながら、お孫様に対する資金贈与をご検討いただければと思います。
名義預金を含めた相続税に関する相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」
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