スーパーやショッピングセンターの一角に売り場を構え、
日常的な買い物はすべて済むのではないかと思える充実ぶりの100円ショップ。
最近では、生鮮品も扱っていたりお洒落な雑貨が中心だったりと、
チェーン店によって工夫を凝らした品揃えで目移りしてしまいます。
バブル崩壊後のデフレの波に乗り急成長してきましたが、
当時は、ショッピングセンターのテナントスペースの穴埋めや、
スーパー内の売場縮小による空きスペースのピンチヒッター役として、
テナント側にとっても無くてはならない存在でした。
そんな100円ショップの代表格、ダイソーの創業者 矢野 博丈氏は、
現金仕入による、廉価販売からスタートして、
現在の会社の基礎を作り上げたのです。
最初に始めた事業に失敗して、その後セールスマン、古紙回収など、
仕事を転々とした後、雑貨の移動販売、いわゆる「バッタ屋」を始めます。
スーパーの店頭や催事場、公民館などを1週間ごとトラックで回り、
倒産した会社や資金繰りの苦しくなった会社から買い取った商品を、
ディスカウント価格で売りさばいていく商売です。
現金仕入であるため、商品は安く仕入れるのですが、
品出しから、陳列、精算まで、全て一人でこなさなくてはならないのでした。
その後、均一価格で商品を販売する商売をはじめ、
事業の規模を大きくしていきます。
しかし、「催事場が汚くなる」という理由から、
主な納入先であった大手スーパーから取引を断られることになります。
どうしたらいいかと、思いあぐねた末に考え付いたのが、
スーパーに出入りするお客に来てもらえる場所に、
催事場の代わりとなる店舗を作ることだったのです。
これが今日の100円ショップの始まりとなりました。
いわゆる「バッタ屋」の特徴は、現金支払いをすることで、
安く品物を仕入れることです。
どうして現金支払いであると安く仕入れられるのでしょう。
経営に行き詰った会社や経営が上手く行っていない会社は、
今日、明日のお金を必要としています。
たとえ、その売値が商品の仕入れた価格の何分の一になろうとも、
とりあえずのお金が欲しいのです。
売れ行き不振の商品や大量の返品を受けた商品は、
その商品を次に買ってくれる会社を探すことはとても難しくなります。
返品無しで買ってくれる会社があれば、「廃棄するより、マシ」とばかりに、
価格のことは、二の次で売ってしまいたくなるのです。
このように、商売が上手く行っていないところがあるからこそ、
現金仕入というメリットが生きてきます。
そこには、掛であれば、仕入れてから1ヶ月以上遅く支払えばいいはずの
仕入代金を、仕入と同時に現金で支払っても有り余るほどの、
儲けが隠されているのです。