お知らせ

 あまりに便利になりすぎ、止まる事はないと思っていた、
 電気、水道やガスなどのインフラ。
 ここ数年、地震や台風、大雪などで災害に巻き込まれると、
 案外簡単に「ストップ」するものだと痛感させられます。

 特に冬場では、生死にかかわることもありますから、
 非常時でも暖房器具は使えるように備えておく必要があります。
 最近の災害発生時では、カセットコンロが重宝され、
 非常時備品として推奨している自治体もあります。

 近年は地震の活動期に入っているといわれ、
 地震だけでなく大きな災害が、毎年のように発生していいます。
 「油断大敵」、「備えあれば憂い無し」の言葉を肝に銘じて、
 身近なことから対策を守っていきたいものです。

 イワタニの創業者 岩谷直治氏がガスと巡り合ったのは、
 彼がまだ運送会社で丁稚奉公していた時でした。
 その後に戦争景気や敗戦後の都市整備につれ、
 産業ガスやプロパンガスの需要が大きく膨らむことになるのですが、
 岩谷氏は2つの経験をすることになります。
 
 運送会社の主人は、鋼板の切断や溶接に使われる酸素ガスが、
 造船などの重工業の発展につれ需要が増えること見込み、
 商売としては敬遠されがちだった
 酸素ガスの運搬を一手に引き受けたのでした。
 
 岩谷氏は悟りました…
 「他人のやらないことをするのが商売のコツである」
 
 また、プロパンガスは石油採掘現場や精製工場で発生する厄介者扱いで、
 長年大気中に放出されていたのです。
 「プロパンガスをイタリアでは缶詰にして売っている」と、
 ヨーロッパでのガス事情を耳にして。
 
 岩谷氏は閃きました…
 「自分が求めていた、大衆に奉仕できる事業」
 
 世間では、プロパンガスの事を「ロシアのパン」と言われて、
 食べるパンと勘違いされていた程だったのです。
 そんな中、岩谷氏が目を付けたのが都市部から離れた温泉地の旅館でした。
 
 「毎日何十人、何百人の宿泊客のために一斉に食事を用意するには、
 プロパンガスが役に立つはず」
 最初に、候補に挙がったのは、本社のある大阪に近い有馬温泉でした。
 見事に気難しい旅館の板長の審判をクリアーすることができ、
 宮津、城崎、白浜、そして全国の旅館へ広めていったのです。
 
 岩谷氏の最終目標はプロパンガスを
 一般家庭の主婦に認めてもらうことでした。
 その理由は、薪による家事の重労働からの開放と、
 煙から健康を守ることだったのです。

 普及の足がかりに選んだのは岩谷氏の故郷である島根県でした。
 しかし、島根県は保守的な土地柄であり、
 おまけにプロパンガスのライバルである木炭の有数な産地であったのですが、
 岩谷氏は故郷の地縁をうまく生かし、
 ライバルであった木炭商の転業を成功させたのです。
 
 こうして、イワタニのプロパンガスは一気に、
 全国の家庭に広がっていくことになります。
 その後のヒット商品、カセットコンロは都市ガスの引かれた家庭でも
 利用され、アウトドアには欠かせないアイテムとなっています。

口約束で貸した土地に建てた小屋の撤去

今回は相談事例を通じて、口約束で貸した駐車場に建てた小屋の撤去について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先日亡くなった母から相続した不動産(空き地)についての相談です。
 この空き地は母が生前に駐車場として第三者に無償で貸し出していたものなのですが、最近になって見に行ったところ、プレハブ小屋が建っていました。そこで、私から借主に抗議したのですが、借主曰く、元々口約束で母から「この空き地は自由に使ってよい」といわれていたとのことです。
 もっとも、私自身は母からそのようなことは聞いていませんし、母がいなくなったことをいいことに好き放題しているだけではないかと思っています。借主にプレハブ小屋を撤去させる方法はないでしょうか。

 なお、母は空き地を貸し出すにあたっては、特に契約書は作っていなかったようですし、また、いつまで貸すといった話も聞いていません。

A-1
ワンポイントアドバイス

 お母様と借主との間で契約書は作成されていないとのことですが、契約は口頭の合意でも成立することから、本件では上記空き地(以下、「本件不動産」といいます。)を対象に駐車場としての利用を目的とした使用貸借契約(民法第593条)が成立していると考えられます。

 そして、使用貸借契約の目的物につき、契約により定まった方法に従い使用しなければならないところ(同法第594条3項)、仮に相談者様の述べるとおり、本件不動産を駐車場として借主に貸し出していた場合、借主が本件不動産上にプレハブ小屋を建てることは、用法順守義務違反にあたります。

A-2
詳細解説

 この場合、相続により貸主の地位を相続した相談者様において、用法順守義務違反を理由に、本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件不動産の明渡しを求めることが考えられます。

 他方で、借主の述べるとおり、使用期間の定めがなく、借主において相談者様のお母様から本件不動産を「自由に使ってよい」といわれていた場合にも、本契約は目的を定めない使用貸借契約となるため、貸主において自由に解約することができます(同法第598条2項)。

 そのため、相談者様はいつでも本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件土地明渡しを求めることが可能だと考えられます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
まだ役員ではない後継予定者と事業承継税制の適用

2025年5月の役員改選で役員に就任する予定ですが、事業承継税制の特例措置は適用できますか?

Q
今月のご相談

 相続対策を兼ねて、息子の社長就任にあわせて、私が所有している会社(非上場)の株式を贈与しようと思います。
 「事業承継税制」を利用すればこの贈与に係る贈与税が免除されるようですが、まだ息子は会社の役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)でまずは専務に就任させる予定です。その後、事前の計画の提出を行い、特例措置の適用を受けたいと考えていますが、問題ないでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 「事業承継税制」の受贈者要件として、贈与日まで3年以上会社の役員である必要があります。特例措置に係る贈与の適用期限は2027年12月31日となっており、2025年5月の役員改選での役員就任では、この要件を満たすことはできません。遅くとも2024年中の役員就任が必要です。

A-2
詳細解説
1.事業承継税制とは

 事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(いわゆる「円滑化法」)」に基づく認定を受け、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度をいいます。

 事業承継税制は、大きく、非上場会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」に分かれます。

 ご相談のケースは、非上場会社の株式ですから、法人版事業承継税制を指します。

 法人版事業承継税制には以下2つの措置があり、主な相違点は下表のとおりです。

●特例措置と一般措置の主な相違点
  特例措置 一般措置
事前の計画策定等 特例承継計画の提出
[2018年(平成30年)4月1日から2026年(令和8年)3月31日まで]
不要
適用期限 次の期間の贈与・相続等
[2018年(平成30年)1月1日から2027年(令和9年)12月31日まで]
なし
対象株数 全株式 総株式数の最大3分の2まで
納税猶予割合 100% 贈与:100%
相続:80%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件 弾力化 承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 あり なし
相続時精算課税の適用 60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 60歳以上の者から18歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与
出典:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)」
2.贈与税の納税猶予及び免除に係る受贈者の要件

 法人版事業承継税制について、贈与税の納税猶予及び免除を適用するには、様々な要件を満たす必要があり、後継者である受贈者の要件もそのうちの1つです。

 たとえば後継者である受贈者の主な要件として、以下が挙げられます。

  • 贈与の時において、会社の代表権を有していること
  • 贈与の日において、18歳以上であること
  • 贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること
  • 贈与の時において、後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること
  • 贈与の時において、後継者の有する議決権数が、次のイ又はロに該当すること(特例措置の場合)
    イ 後継者が1人の場合
    後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
    ロ 後継者が2人又は3人の場合
    総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
3.ご相談のケース

 上記2.のとおり、受贈者の要件に「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」があります。

 ご相談のケースでは、ご子息はまだ役員とはなっておらず、来期の役員改選(2025年5月)で専務に就任予定とのこと。上記1.のとおり、事業承継税制の特例措置には適用期限が設けられており、2025年の役員改選時での役員就任は、「贈与の日まで引き続き3年以上を会社の役員であること」の要件を満たすことはできず、特例措置の適用を受けることはできません。

 そのため、特例措置の適用を受けたい場合には、遅くとも年内(2024年中)に役員に就任する必要があります。

 なお、一般措置であれば現状適用期限が設けられていないため、2025年の役員改選時での役員就任であっても、適用できる可能性は考えられます。一般措置の適用も検討されてはいかがでしょうか。

 事業承継税制に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
国税庁HP「事業承継税制特集

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