お知らせ

 私たちの事務所が位置する京都市北西部は、大学や高校が多く点在して、
 朝夕の時間帯は、学生が多く行き来しています。
 先週は、近くの学校でも卒業式が行われ、
 いつもと違う華やかな光景に目を楽しませてもらいました。

 また、周辺のワンルームマンションには引越会社のトラックが止められ、
 4月の入学に備えた学生の荷物の運び入れに慌しくしています。
 近頃は、生鮮食品を取り扱う100円ショップが増えてきて、
 「貧乏」学生の生活も、幾分か楽になっているのでしょうか。

 食欲が旺盛な世代であっても、500円も出せば
 おなかいっぱいに出来るのがうれしいところ。
 日が暮れだすと、おにぎりやカップ麺、弁当や惣菜を
 買い物カゴに入れた学生(らしき)の姿を目にするようになります。
 
 プリント基板メーカー キョウデンの会長 橋本 浩氏は、
 経営が行き詰った会社や、新興企業で成長が鈍化した会社の改革に力を注いできました。
 これまでに、コンビニのSHOP99(現 ローソンストア100)、
 スーパーの長崎屋、パソコンメーカーのソーテック、などを傘下に治め、
 経営改革を行ってきました。

 本業であるキョウデンは、25歳の時、
 大手電器メーカーのチェーン店として電気店を開いたことに始まります。
 その後、プリント基板の製造に手を広げ、
 スピード納品を売り物にして事業を拡大していった手腕の持ち主です。

 小売店から商売を出発したこともあって、
 「お客様」目線を重視した経営を努めています。
 2000年に経営破たんした、長崎屋の再建に乗り出したときに、
 橋本氏が掲げたのは「粗利(あらり)」を確保することでした。

 ダイエーをはじめとするスーパーが、
 高度成長期に事業を拡大するときに目標としたのは増収(売上アップ)であり、
 薄利多売で利益をないがしろにしてまでも、
 売上を上げることが普通になっていたのです。

 そんな意識を180度転換することから、経営の見直しをはじめました、
 ある店舗では、利益率の低い家電売場を廃止して、
 肌着や子供服などの衣料を強化することにより、
 粗利率が1.5%もアップしたのです。

 それぞれの会社には、得意分野というものがあり、
 その儲けによって成り立っているはずです。
 事業拡大に走りすぎると、利益が見込めない(一時的には赤字になる)分野へ、
 多くの人やお金をかけてしまい。
 その結果、いくら売っても儲からないことになってしますのです。

 ビジネスの基本は、利益を残すことです。
 損をしてでも売上を伸ばすのは、
 シェアを広げたいときなど一時的にやることです。
 いつまでも続けられるものではありません。
 「借入金が増える」「借入金が減らない」と感じるときは、
 事業の内容を見直してみましょう。

賃借人へのマイナンバー提供の留意点

賃借人である法人からマイナンバー提供の依頼がありましたが、提供するにあたっての留意点を教えてください。

Q
今月のご相談

 父親が亡くなり、賃貸アパートを相続したところ、賃借人である法人から委託されたという業者から税務署へ提出する書類(不動産の使用料等の支払調書)に賃貸人である私のマイナンバーを記載するため、としてマイナンバーの提供の依頼がありました。提供するにあたっての留意点を教えてください。
 また、マイナンバーは重要な個人情報であり、できれば今後このようなことは回避したいと考えますが、よい方法があれば、併せて教えてください。なお、当該賃借人から受け取った年間の賃料は120万円です。

A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談のような場合には、その業者が本当に委託された業者であるかの真偽を確かめる他、提供するマイナンバーの利用範囲や安全管理面がどうなっているかなどを確認されるとよいでしょう。また、回避方法については、詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説
1.マイナンバーの提供が求められるケース

 不動産に関しては、一定の場合、税務署へ法定調書を提出する義務があります。
 たとえば、①不動産の使用料等の支払調書、②不動産等の譲受けの対価の支払調書、がこれに該当します。

  • ①不動産の使用料等の支払調書
    法人又は不動産業者である一定の個人は、不動産の使用料等として同一人に支払う金額が年間15万円を超える場合には、「不動産の使用料等の支払調書」を作成し、税務署へ提出しなければなりません。
  • ②不動産等の譲受けの対価の支払調書
    法人又は不動産業者である一定の個人は、不動産の売買等の対価として同一人に支払う金額が年間100万円を超える場合には、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を作成し、税務署へ提出しなければなりません。

 これらの書類には、取引の相手方(①であれば賃貸人、②であれば売主)のマイナンバーを記載する必要があるため、上記取引に該当した場合には、賃貸人又は売主はマイナンバーの提供が求められます。

 なお、マイナンバーの提供については本人確認を行う必要があり、マイナンバーだけでなく、マイナンバーカードの場合は表裏両面の写し、通知カードの場合は、通知カードと身元確認書類(運転免許証など)の写しの提供依頼もあります。

2.マイナンバー提供の注意点と安全管理措置
(1)注意点

 ご相談のような賃借人が委託した外部の業者からマイナンバー提供の依頼がある場合の注意点は、状況に応じて真偽を確認する必要があることです。マイナンバーの収集を外部の業者に委託することは法令で認められていますが、本当にそれが委託された業者なのかは、賃借人に直接確認されるとよいでしょう。

(2)安全管理措置

 マイナンバーの提供を受けた側(ご相談の場合は賃借人である法人)は、

  • 法令やガイドラインにより、収集したマイナンバーの安全管理措置を講ずることが義務付けられている
  • マイナンバーは法令で定められた目的以外での取得・利用・他人への提供が禁じられており、違反した場合には厳しい罰則が設けられている
  • 提供を受けたマイナンバーを利用して行政機関などが保有する個人の情報を取得することはできない

など縛りが多く、安全管理措置を遵守するため、マイナンバーの収集を外部の業者に委託している法人等は少なくありません。

3.マイナンバーの提供を回避する方法

 ご相談の不動産賃貸についてマイナンバーの提供を回避する方法としては、たとえば資産管理会社など賃貸人が経営する会社がある場合は、転貸借を利用する方法が考えられます。具体的には、当該会社を介して賃貸することにより、最終の賃借人からのマイナンバー提供の依頼を回避することができます。

 「不動産の使用料等の支払調書」では、法人に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く権利金、更新料等が対象となるため、賃借人から資産管理会社へのマイナンバーの提供依頼はありません。転貸借を利用したとしても資産管理会社とご相談者との間でのマイナンバーのやりとりは必要となりますが、第三者へのマイナンバーの提供は防ぐことができます。

 他方、マイナンバーの提供を求めてくる法人又は不動産業者である一定の個人以外を賃借人とするなどの制限はお勧めできませんし、賃料設定もご相談のケースでは調整が難しいでしょう。

 マイナンバー提供の依頼に応じる法令上の義務はなく、罰則もないこともあり、マイナンバーの提供に躊躇される方も多いと聞きます。マイナンバーを提供される際には、提供する相手をよく確かめてから行いましょう。

[参考]
 国税庁HP「国税の番号制度に関する情報

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
会社への貸付金と生命保険の活用

将来の返済請求に備えて、生命保険を活用することの有用性を教えてください。

Q
今月のご相談

 会社に貸付金がある親族外役員がいます。貸付金額は5,000万円です。その役員との関係性は良好とはいえず、過去に貸付金の返済を請求されたこともありますが、資金繰りに余裕がなく、まだ返済を行えていません。

 先日、付き合いのある生命保険会社の担当者から、その役員の万一に備え、生命保険の加入を勧められました。役員に万一が発生した場合、会社への貸付金はどうなるのでしょうか? また、生命保険の有効性についても教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 役員に相続が発生した場合、会社への貸付金は貸金債権として相続財産に加算されます。相続人の納税負担が増えることになりますので、貸付金の返済を請求される可能性も考えられます。このような事態に備える方法として、生命保険の加入は有効といえます。

A-2
詳細解説
1.役員に相続が発生した場合、貸付金はどうなる?

 役員に相続が発生した場合、会社に対する貸付金は貸金債権として相続財産に加算され、相続税の対象となります。相続財産とはいえ「債権」であるため、貸付金を相続した相続人の手元にすぐ現金が入るわけではありません。

 役員の相続人からすると、すぐに現金化できない財産に対して相続税が課税され、納税負担も増えることになるため、相続人が会社に対して貸付金の返済を請求する可能性も考えられます。

 その場合、資金面で会社に余裕があればよいのですが、返済が困難なケースや無理に返済を行った結果、資金繰りが悪化し、会社の存続が危ぶまれることもあるかもしれません。

2.生命保険の有用性

 上記1.のような事態に備える方法として、生命保険が有効です。【契約者=会社、被保険者=役員、受取人=会社】とした生命保険に加入します。生命保険に加入することで、役員に万一が発生した場合は、死亡保険金を原資に貸付金を返済することが可能です。

 死亡保険金は法人税の課税対象となるため、法人税を考慮した保険金額を設定するとよいでしょう。
 今回は保障重視ということで掛け捨て保険を想定し、保険料の損金は無視して試算すると、以下のとおりとなります。

例)法人実効税率30%、貸付金額が5,000万円の場合
5,000万円÷(100%-30%)≒7,143万円

 会社に対する貸付金がある場合、たとえ貸付を行っている役員との関係が良好であったとしても、相続人が会社に対して貸付金の返済を求めるケースは十分に考えられます。

 役員の万一に備え、生命保険への加入をご検討されることをお勧めします。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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