お知らせ

 所有する土地が大深度地下使用法の適用を受ける場合、相続税評価額の算定において軽減措置はありますか?

 私が東京郊外に所有する土地の地下深くに高速道路のトンネルが通ることになっていますが、事業者からは『大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(以下、大深度地下使用法)』の適用対象となるため、補償は行わないといわれています。そうなると、将来的に相続が発生した場合の相続税評価においても、何らかの軽減措置が講じられることはないのでしょうか。

 土地の相続税評価額の計算上、『大深度地下使用法』の適用対象となることをもって何らか軽減される措置は、現状用意されておりません。

1.土地の所有権の及ぶ範囲

 土地の所有権の及ぶ範囲について、民法第207条では「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されています。

 

 したがって、高速道路や鉄道の地下トンネルなどの工作物を他人の土地の地上ないし地下に設置する場合、その土地所有者の承諾を得る必要があります。民法第269条の2では、「地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる」としており、この権利を「区分地上権」といいます。

 また、区分地上権を設定する場合、「設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる」とされています。具体的には、地下にトンネルなどの工作物を設置するような場合、地上建物の荷重制限や地下室の設置ができないといったような制限です。例えば、本来は地上8階地下2階建の建物が建築できる土地であるのに、区分地上権の設定により地上5階地下1階建の建物しか建築できない、といったケースがこれに該当します。

2.区分地上権の評価方法

 区分地上権について相続税評価額を算定するにあたり、その評価方法は財産評価基本通達27-4で以下のとおり定められています。具体的には、土地の利用が阻害される程度に応じた価値の減分を反映した評価方法が取り入れられています。

(区分地上権の評価)
27-4 区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。
 この場合において、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができるものとする。
3.大深度地下使用法の適用を受ける土地

 一方、『大深度地下使用法』という法律では、土地所有者による通常の利用が行われない大深度地下空間に使用権を設定するための要件・手続等が定められており、公共の利益となる一定の事業を行う場合、国や地方公共団体の認可を受ければ、土地所有者の同意を得ずに当該大深度地下空間を使用することができるとされています。

 具体的な要件等は以下のとおりです。

  • 大深度地下の定義(次のうち、いずれか深い方の地下)
    • (1)地表から40メートル(地下室の建設のための利用が通常行われない深さ)
    • (2)支持基盤の最も浅い部分の深さに10メートルを加えた深さ
  • 対象地域
    • (1)首都圏の既成市街地又は近郊整備地帯の区域内の市区町村
    • (2)近畿圏の規制都市区域又は近郊整備区域内の市町村
    • (3)中部圏の都市整備区域内の市町村
  • 対象事業
    • 道路事業、河川事業、鉄道事業、電気通信事業、電気事業、ガス事業、水道・下水道事業等

 大深度地下空間は、土地所有者による通常の利用が行われない空間であり、利用が制限されても実質的な損失が生じないことから、公的な使用権の設定を土地所有権に優先させるという考え方に基づいています。例外規定として、具体的な損失が生じた場合には、大深度地下使用認可の告示の日から1年以内に限り補償を請求できる、とされていますが、それ以外に補償を請求できるケースは規定されていません。

4.大深度地下使用法の適用を受ける土地の評価方法

 上記3.の考え方を反映してか、大深度地下使用法の適用を受ける土地について、財産評価基本通達において特段の評価方法は定められていません。したがってご相談のケースでは、『大深度地下使用法』の適用対象となることをもって、何らかの軽減がされることはないと考えます。

 土地の相続税評価額に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 相続に伴い契約者変更をした生命保険の税金について教えてください。

 亡くなった父の相続手続きにあたり、父が管理していた書類を整理したところ、契約者が父、被保険者が私(A)になっている生命保険が見つかりました。2年後満期になったときに満期保険金がおりる契約です。
 保険会社に確認したところ、契約者を父から私に変更して引き継ぐよう案内され、この手続きは完了しました。引き継いだ生命保険は、父の相続に係る相続税においてどのように扱われるのでしょうか。また、引き継いだ後、私が受け取る満期保険金の税金についても教えてください。

【契約内容】
  • 保険種類:養老保険
  • 保険期間:10年満期(残2年)
  • 保険金額(死亡・満期):500万円
  • 保険料払込方法:全期前納払い(全額父負担)
  • 契約者:父(契約引継ぎ後:A)
  • 被保険者:A
  • 死亡保険金受取人:父(契約引継ぎ後:Aの配偶者)
  • 満期保険金受取人:父(契約引継ぎ後:A)

 ご相談のケースでは、相続により引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として、お父様がお亡くなりになった時点の解約返戻金相当額に未経過保険料等を加算等した額が相続税の課税対象となります。また、Aさんが受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

1.被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合

 被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合は、契約者の変更を行います。
 変更後の新しい契約者は、その契約の権利を引き継ぐことになります。

2.相続時の税務上の取扱い

 引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として相続税の課税対象となります。

(1)評価額

 評価額は、原則、契約者が死亡した時点の解約返戻金の額となります。

 ただし、ご相談のケースのように、保険料が前納されており解約返戻金とは別に受け取ることができる未経過保険料がある場合や、配当金等がある場合は、解約返戻金に未経過保険料や配当金の額を加えた額が評価額になります。

 なお、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合は、当該金額を控除することができます。

(2)相続財産の評価

 “生命保険”となると、死亡保険金の非課税枠を思い浮かべるかと思います。

 しかし、ご相談のケースは保険事故が発生していない生命保険であり、本来の財産として取扱われます。死亡保険金の非課税枠(※)の適用ができる被相続人の死亡を保険事故として受け取る生命保険とは異なるため、死亡保険金の非課税枠を適用することはできません。

※ (500万円×法定相続人の数)を限度として、相続税の計算上非課税とすることができる制度です。

3.満期保険金に係る税務上の取扱い

 将来Aさんが受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一であるため、所得税(一時所得)の対象となります。一時所得の計算においては、相続により権利を引き継いだ生命保険は、引き継いだ契約者自らが当初から保険料を負担したものとして取扱います。

 なお、契約者が被保険者より先に亡くなって引き継がれる生命保険は、相続財産の確認において漏れやすいため、税制改正により保険会社から税務署へ発行される調書の見直しがされており、現状では死亡により契約者が変更された一定の契約については、一定事項を記載した支払調書が所轄税務署長へ提出されることとなっています。

 税務署にとっては死亡による契約者変更の事実を把握しやすくなりましたが、ご遺族としてはどのように扱えばよいか分かりづらい契約形態であることに変わりありません。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 喫煙に対する規制が強くなったこともあり、
 タバコの自動販売機(自販機)はかなりの数が姿を消しました。
 郊外に行けば、自家野菜や玉子を売る自販機を目にすることもありますが、
 街中で見かけるのは、飲料水や缶コーヒーの自販機ばかりになりました。

 コンビニやフードコートが広がるまでは、
 街角や人が集まる場所で一風変った自販機を目にしたものです。
 そんな、レトロな自販機を集めた「自販機食堂」が群馬県にあり、
 ちょっとした観光スポットとなっているようです。

 メニューは、ハンバーガー、トースト、うどんやラーメン。
 値段は安いとはいえないけれど、麺類28秒、トースト40秒、
 ハンバーガーは68秒と、ファストフード顔負けの速さが売り物です。

 道路を挟んだ向かいにコンビニがあるものの、
 物珍しさに惹かれて訪れる人、当時を懐かしんで来店する客が後を絶たず、
 平日で100食、休日は200食を超える売上があるそうです。  

 現在のように、街角のいたるところに自動販売機が設置でき、
 販売を支えているのが、硬貨、紙幣の認識技術です。
 この技術に早くから取り組んだのが、立石電機(現 オムロン)です、

 最初に開発を手がけたのは食券自動販売機でした。
 私鉄の路線延長に備えて、百貨店が新駅に通じる地階に、
 新しく食堂コーナーを作る計画をしたのです。
 その食堂に、食券の自動販売機を導入する構想が持ちあがります。

 3種類の硬貨を利用し、偽造を見分け、7種類の食券を販売するという、
 開発陣も尻込みするほど、とても高い性能を要求されましたが、
 見事に完成させ63年に7台の納入を果たします。

 自動制御装置にコンピュータを組み合わせた技術は、
 次々と新しい製品に開花していきます。
 アメリカのメーカーの依頼で、食券の自動販売機の技術を応用した、
 クレジットカード用の自販機システムを手がけることになります。

 現地では、食事をする前に前払いする習慣が無かったため、
 いわゆる後払い形式のクレジットカード方式に切り替えての開発でした。
 製品発表は大々的にマスコミに取り上げられ、
 新聞やテレビで報道されましたが、一方販売は伸びませんでした。

 しかし、その技術は無駄にされることなく、
 銀行の窓口無人化システムにつながります。
 66年に金融会社から入った、紙幣自動貸出機の開発依頼を皮切りに、
 銀行向けのCD(自動預金支払機)を手がけ、
 ATM(自動現金引き出し、預け入れ装置)に引き継がれたのです。

 30年、オムロンの創業者 立石一真氏が独立開業を決意したのは、
 折からの不況で、勤めていた会社の希望退職に応じたものの
 就職口がみつからず、再就職できなかったからです。

 最初は、自らが考案した、ズボン挟み器(ズボンプレッサー)や
 ナイフグラインダー(包丁研ぎ器)を売り歩き、
 細々と生計を立てていましたが、持っていたお金も底を尽き、
 その日の米代まで不自由するようになります。

 途方にくれ、周囲に仕事がないかと訪ね歩いていたところ、
 友人がレントゲン撮影用のタイマーの話を持ってきてくれます。
 鮮明な映像を撮るために、20分の1秒を計る必要があったのですが、
 それまではゼンマイ仕掛けで、正確に測定できなかったのです。

 立石氏は、2ヶ月掛かりで2台の試作品を完成させメーカーに持ち込みます。
 大阪の病院で行われた、タイマーの立会い試験では、
 合格の結果を受け、はじめて大口の注文を受けることが出来たのです。
 こうして、「継電器(リレイ)」の専門工場として
 立石電機の基礎が出来上がったのです。

 今回は相談事例を通じて、一切の財産に含まれるものについてご紹介します。

 父が亡くなりました。相続人は長男の私と母の2人です。遺言書の中に「長男〇〇に一切の財産を相続させる」という文言がありました。この「一切の財産」の中には債務も含まれるのでしょうか。遺言書には、債務に関しては何も書かれていません。

 ご質問への回答として最高裁判決がありますので、以下にご紹介します。

 「相続人のうちの1人に対して、相続財産の全部を相続させる旨の遺言がなされた場合、特段の事情のない限り、当該相続人に債務も全て相続させる意思が表示されたものと解すべきである。」(最高裁平成21年3月24日判決)

 ご質問には、「一切の財産」と表示されており、一方上記判決では「相続財産の全部」との表示ですが、これは同じ意味と理解してよいでしょう。

 上記最高裁判決の根拠は、民法第899条です。同条には、「各共同相続人は、その相続分に応じて、被相続人の権利義務を承継する。」と規定されています。従って、相続人はプラスの財産ばかりではなく、相続分に応じて「義務」すなわち被相続人の債務も相続することになります。

 上記第899条の「相続分」ですが、通常は「法定相続分」(民法第900条)によりますが、遺言では、法定相続分と異なる相続分を指定することができ(民法第902条第1項)、その場合は、その指定された相続分での相続となります。ご質問の場合、指定された相続分は上記最高裁判決と同様に「全部=100%」ですから、相続人は、被相続人の債務も全部=100%相続することになります。

 なお、上記はあくまで相続人間での債務の承継の話です。債権者としては何も関知しえないところで債務の承継が決まることはありませんので、債権者は遺言に従わずに、法定相続分に応じて請求することは可能です(その場合、遺言で相続しない妻は、債権者への弁済分を、子に求償することになります)。

 

 

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 2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、相続税の計算における未成年者控除はどうなりますか?

 相続人が未成年者の場合、「未成年者控除」として満20歳に達するまでの年数に応じた一定の金額を相続税額から控除してもらえると聞いています。2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、この「未成年者控除」はどうなるのでしょうか?

 成年年齢の引き下げにあわせて、「未成年者控除」が適用できる年齢や控除額の計算が改正されました。

1.未成年者控除とは

 相続人が未成年者である場合には、相続税の額から一定の金額を控除します。この控除を「未成年者控除」といいます。

 未成年者控除を適用できるのは、次のすべての要件を満たす人です。

  • (1)相続又は遺贈により財産を取得した法定相続人(日本国籍を有していない人など、一定の人は対象外です。)であること
  • (2)上記(1)の法定相続人とは、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
  • (3)上記(1)の法定相続人は、その相続又は遺贈により財産を取得したときに未成年者であること

 上記(3)の「未成年者」の年齢が2022年3月までは「20歳未満」でした。これが、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、未成年者控除における「未成年者」の年齢も2022年4月から「18歳未満」に引き下げられました。

2.未成年者控除額

 未成年者控除額は、以下の算式により計算します。

【控除額】
10万円×成年に達するまでの年数(1年未満切上)

 「成年」とは、2022年3月までは「満20歳」でした。

 これが、2022年4月からは民法の成年年齢にあわせて「満18歳」に改正されました。

 つまり、2022年4月からの控除額の計算は、以下の通りとなります。

【控除額】
10万円×満18歳に達するまでの年数(1年未満切上)
3.適用開始時期

 この改正は、2022年4月1日以後の相続又は遺贈から適用されます。

4.留意点

 未成年者控除については、未成年者本人の相続税額より控除額が大きくなるために引ききれない場合があります。この場合には、その引ききれない部分をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

 今回の改正により、単純計算で控除額が最大20万円(2年×10万円)減少することとなりますので、このような引き切れない部分を差し引ける金額も当然少なくなることが予想されます。

 孫養子などで未成年者を相続人とした場合に有効活用してきたこの未成年者控除について、今般の改正点を改めてご確認ください。

 なお、既に未成年者控除の適用を受けたことがある場合には、一定の控除限度額の計算があります。その点もご留意ください。

 過去に税額計算をシミュレーションされた方は見直されると良いでしょう。
 相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP「No.4164 未成年者の税額控除」など

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 毎年、数え切れないくらいの新製品が登場する飲料水のなかで、
 生き残れる製品はわずか数製品といわれています。
 炭酸飲料が世の中に出回りはじめた頃には、
 ラムネが出荷量の大半を占めていました。
 しかし、親しまれた独特な形にこだわったことが
 普及に歯止めを掛けることになってしまったのです。

 同じようでいて、名称が違っている、「ラムネ」と「サイダー」。
 感のいい方は気づいておられると思いますが、
 どちらも、語源は外国語からきています。

 ラムネは、英語のレモネードが訛ってできた言葉で、
 サイダーは、フランス語のりんご酒を意味するシードルという言葉が
 変化してできた言葉だといわれています。

 そんな名称が出来上がった経緯が表すように、
 ラムネはレモン味をつけた炭酸水が最初でした。
 一方のサイダーは、イギリスでりんご酒に炭酸水を加えたものが
 シャンパンサイダーと呼ばれていて、
 これを参考にした飲み物が始まりとされています。

 ラムネは世の中に普及する途中で、
 皆さんがよくご存知のビー玉が入った、腰がくびれたビンの形になりました。
 そんなことから、中身の味よりビンの形から、
 サイダーとは分けられるようになったのです。

 どちらも世の中に広まったのは明治以降のことで、
 庶民の味として親しまれることになります。
 サイダーは、現在も他の炭酸飲料と肩を並べる存在としてたくさん飲まれています。
 しかし、ラムネは駄菓子屋さんでの飲み物として、
 郷愁を感じる存在としてのみ残っています。

 昭和に入り、各社から透明なものを含め、
 数えないくらいの炭酸飲料が発売されるようになります。
 そんな熾烈な競争の中でも、サイダーが生き残っているのは、
 三ツ矢サイダーの存在が欠かせません。

 三ツ矢サイダーは、明治から昭和にかけて行われた政府主導の
 ビール製造会社の統合、分割の波の中でビール会社の子会社となります。
 先にお話したように、サイダーはお酒に近い趣向で飲まれていた経緯があったので、
 事業の一環として炭酸飲料とビールを取り扱うことが多かったのです。

 再編の後、三ツ矢サイダーはアサヒビールの子会社となるのですが、
 当時のアサヒビールは、市場でのシェアが低迷して赤字が続いていました。
 シェアが10%を切った時には、倒産は時間の問題とさえささやかれていたのです、
 ビール事業が不振な中で、会社を支えていたのは三ツ矢サイダーの利益でした。

 買手が見つかりにくい土地とは、どういった土地でしょうか。

 相続で取得した複数の土地の管理が大変なので、将来の相続を見越して今のうちから整理しようと思っています。土地の中には買い手が見つかりにくいものがあると聞きました。どのような土地が該当するのでしょうか?

 買い手が見つかりにくい土地とは、一般的に建築物を建築しにくい、もしくは建築できない土地や、建物を建築する際の費用が高額になる可能性がある土地と考えられます。具体的には、詳細解説をご参照ください。

 買い手が見つかりにくい土地として、代表的な土地をいくつか次に示しました。

1.不整形地

 不整形地とは、長方形や正方形といった四角形ではない土地のことをいいます。

 L字型や三角形など、建築できる建物の規模・形状が限られる土地の場合、同じ面積の整形地の土地と比較して活用が難しく、相場より価格が下がります。

 また、建物の敷地は、道路と2m以上と接していなければなりません。古い既成市街地などで2mに満たない土地では、相場より極端に価格が低くなる可能性があります。

2.がけ地や急傾斜地

 建物を建築することが不可能なくらいの急傾斜地や、がけの擁壁工事が必要な土地の場合、安全性の高い土地にするための造成費用がかかるため、一般的な相場より価格が低くなる可能性があります。また、急傾斜地の場合、法令により土砂災害警戒区域等に指定されていることもあり、その場合も相場より価格が低くなる可能性があります。

3.前面道路の幅員が狭い土地

 建築基準法により、建物の敷地は幅員4m以上の道路に接していることが求められます。これを満たしていない場合、建物を建築するには道路の中心線から敷地を2m以上後退させなければなりません(セットバック)。そのため活用できる敷地面積が減少し、相場よりも価格が低くなります。また、車の出入りが難しいというデメリットもあります。

4.極端に面積の広いもしくは狭い土地

 あまりにも面積が広い、もしくは狭い土地になると、利用用途が限定、もしくはないものとされてしまい、買い手が見つかりにくくなります。

5.市街化調整区域内の土地

 都市計画法により市街化調整区域に指定されている区域は、市街化を抑制すべき区域とされており、建築物の建築も制限されています。建築物を建築できない土地では用途が限定され、買い手が見つかりにくくなり価格も低くなります。ただし、例外的に建築できる場合もありますので、必ず専門家にご確認ください。

 所有されている土地が上記にあてはまる場合には、買い手が見つかりにくい土地である可能性が高いと考えられます。

 いずれにしろ、土地の整理をされる前に不動産業者に物件調査及び査定を依頼した上で、今後の利用方法や利用予定がないと判断した場合の売却等の対策を検討されることをお勧めいたします。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 死亡保険金は請求をしてからどれくらいで支払われるのでしょうか。

 先日父が亡くなりました。父は生前、終身保険に加入していたようです。請求予定の死亡保険金を葬式代の支払いに充てたいと思っていますが、受け取りまでにどれくらいの日数がかかるのでしょうか?
 請求にあたり準備すべき書類や注意事項があれば、あわせて教えてください。

 大抵の保険会社は、請求書類が保険会社に到着した日の翌日から5営業日以内に保険金を支払います。また、保険金請求の流れ等については、詳細解説をご参照ください。

1.保険金請求の流れ

 ご相談のケースのような場合、一般的には次の流れで保険金を受け取ります。

(1)保険会社に連絡する

 契約者、保険金受取人から保険会社に連絡をしましょう。その際、保険証券に記載されている証券番号をお伝えいただくと、スムーズに請求手続が行えます。

(2)必要書類の記入

 上記(1)の後、保険金請求に関する書類が郵送されます。受取人が書類の記入を行い、請求に必要な書類を揃えて保険会社へ提出します。
 請求に必要な書類は、主に次のとおりです。

【請求に必要な書類】
  • 保険金請求書
  • 被保険者の住民票
  • 受取人の戸籍抄本
  • 受取人の印鑑証明書
  • 死亡診断書
  • 保険証券 など
(3)保険金の受け取り

 請求書類に不備がない場合は、請求書類が保険会社に到着した日の翌日から起算して、5営業日以内に支払うと定めている保険会社が多くなっています。

 ただし、保険金の支払いにあたり、確認・照会・調査が必要な場合はこの限りではありません。約款に定める所定の期限までに保険金・給付金を支払うことができない場合、保険会社は所定の利息(遅延利息)をつけて支払います。

例)土日休業の保険会社に対して金曜日に書類が到達した場合

2.注意点

 注意事項として、亡くなる前に入院・通院などの治療をされていた場合、死亡保険金だけでなく、入院・手術給付金も対象となるケースがあります。

 死亡保険金請求をする際、他に加入していた契約がないか、給付金請求に漏れがないかを保険証券や加入内容のお知らせでご確認いただくとよいでしょう。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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この度サイトをリニューアルいたしました。
今後ともよろしくお願い致します。

 今回は相談事例を通じて、相続登記義務化の施行時期などについてご紹介します。

 相続登記の義務化がスタートすると聞きました。具体的に、いつから何が変わりますか。

 長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために、不動産に関するルールが見直され、今般、施行日が定められました。相続登記に関連する改正については、2024年(令和6年)4月1日に施行されます。

1.相続登記の義務化(2024年4月1日施行)

 相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
 施行日よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。2024年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には、2024年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(2024年4月1日施行)

 ①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、相続登記申請義務を履行したものとみなされます(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。
 この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので、遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(2023年4月1日施行)

 相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は、原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく、法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。
 10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば、具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)を行うことは可能です。

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