新型コロナ感染症拡大の影響が大きかった業種のひとつに外食産業があげられます。
3年を経過しても繰り返す感染拡大の波、
それに加えて、ウクライナ戦争や円安による原料高、人件費の高騰が重なり、
もうこれ以上耐えきれないと悲鳴を上げています。
ファミリーレストラン大手のすかいらーくは、
ロードサイド店を中心に100店程度の店舗を閉店すると発表しました。
これまでも不採算店を中心に閉店を進めてきているので、
業績悪化の深刻さがうかがえます。
一方、関西圏中心に店舗を展開する餃子の王将は、
メニューの見直しやテイクアウトの充実が功を奏したのか、
コロナ禍にあっても、過去最高の売上を更新するなど、
業界内でも勝ち負けの差が表れてきています。
王将が一号店を開業したのは、
外食チェーンが産声を上げた時期と重なる67年。
3年後の大阪万博を境にして、各店の出店ブームが訪れるのですが
京都の地で、じわりじわりと店舗数を増やしていったのが王将だったのです。
それは、繁華街を中心に出店するハンバーガーショップや、
郊外に大きな駐車場を構えたファミリーレストランとは
大きく印象が違っていました。
学生が多く集まる飲食街や下町の商店街に、
決して大きな店舗でなく、
どこにでもある中華料理店といった風情の店がほとんどでした。
直営店なのか、フランチャイズ店かに係わらず、
チェーン店といった感じではなく「暖簾わけ」した店のようでした。
90年代には、席数が多くあるロードサイドの店舗には、
回転寿司を併設した店やいけす料理を提供する店も出店していました。
今から思えば、奇妙なコラボレーションのような気がしますが、
当時の流行を取り入れ売上の落ち込みを補おうとしていたのでしょう。
外食チェーンの多くがセントラルキッチンを設け、
できる限りそこで調理を済ませ、
味の標準化とコストの削減に力を注いでいます。
関西圏以外の方でも、足を運んだ方ならご存知かと思いますが、
王将のスタイルは、かなり違っています。
下味が付いたメニューを除いて、
味付けは店の厨房の調理人が行っています。
看板メニューの餃子も、餡を皮に包むのは店の役割で、
味のばらつきも含めて手作りの味わいがあるのです。
この時期に、店舗内調理にこだわる王将に注目が集まるのは、
均一化されたメニューと味付けに気づいてきたからなのでしょうか。
ファミリーレストランの雄、
すかいらーくが事業転換を迫られているのも、
行き過ぎた効率化(?)のツケなのかもしれません。