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 高圧線が土地の上空を通っていると、相続税評価額は低くなりますか。

 高圧線が相続する予定の土地(宅地)の上空を通っています。このような場合、相続税評価額は低くなるのでしょうか。

 ご相談のケースの土地が「高圧線下地」であれば、相続税評価額の計算上、「区分地上権に準ずる地役権」に該当し、一定の減額が認められています。

 一般に「特別高圧」(7000ボルト以上)の送電線の下に位置する土地を、「高圧線下地」といいます。この「高圧線下地」における土地の利用は、高圧線の電圧に応じて一定の建築制限が課されることから、土地の価値が下がることが一般的です。

 相続税の計算においても、その土地の評価額について一定の配慮があります。「高圧線下地」の場合、上空を高圧線が通っていることから、実質的には区分使用のために地役権を設定しているものとして、「区分地上権に準ずる地役権」に該当し、相続税・贈与税を計算する際に対象財産の価額評価基準として国税庁が定めている財産評価基本通達において、次のように評価方法が定められています。

27-5 区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。  この場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げるその承役地に係る制限の内容の区分に従い、それぞれ次に掲げる割合とすることができるものとする。(平3課評2-4外追加、平6課評2-2外・平12課評2-4外改正)
(1) 家屋の建築が全くできない場合 100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合
(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30

 

 ここで「区分地上権」とは、工作物を所有するため、他人の土地の地下または空間を上下の範囲を定めて使用できる権利(地上権)をいいます。この「区分地上権」は、工作物の所有目的に限られることや土地所有者にとって負担が大きいことから、地役権という権利で代替されることがあります。地役権とは、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利をいい、便益を供する側の土地を「承益地」、便益を受ける側の土地を「要益地」といいます。

 「区分地上権に準ずる地役権」は、登記されている場合とされていない場合があります。公図からも読み取れないため、住宅地図などで近くに鉄塔がないか、あった場合には鉄塔と鉄塔を結ぶ線が対象土地の上を通過していないかを机上で調べる必要があります。さらに、現地で上空を見渡して確認することも必要です。制限の内容などは地役権の設定登記や電力会社との契約を確認することになりますが、不明な場合は鉄塔に番号札が掲示されていますので、その番号に基づき電力会社に利用制限内容を問い合わせることになります。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 相続した実家を売却する場合の税金の特例について、教えて下さい。

 昨年実家で一人暮らしをしていた母が亡くなりました。実家の土地建物は私が相続しましたが、私もマイホームを別に構えており、実家を管理所有し続けていくのは難しい状況であるため、売却することにしました。相続した実家を売却する場合の税金の特例について、教えて下さい。

 相続されたご実家を売却した場合には、その譲渡所得を計算する際に「空き家に係る譲渡所得の特別控除」または「相続税の取得費加算の特例」を適用できる可能性があります。

 空き家に係る譲渡所得の特別控除とは、相続人が被相続人の居住用家屋を相続した場合で、一定の要件に該当するときは、その家屋及びその敷地の譲渡所得から3,000万円の特別控除額を控除することができる特例です。

 

 相続税の取得費加算の特例とは、相続人が相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる特例です。

 なお、これらの特例は併用できません。どちらか一方を選択し、適用します。また譲渡期限にもご注意ください。

<まとめ>

  • 「空き家に係る譲渡所得の特別控除」と「相続税の取得費加算の特例」は、併用適用することができません。

<根拠条文> 所法33、38、措法35、39、措令20の3、23、24の2、25の16、措規18の2、18の18

 

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